小説「新・人間革命」 7月3日 敢闘26

鳳雛会は、私の弟子ではないか! つまり、皆が山本伸一の分身ではないか!
 山本伸一とは、師と共に広宣流布に生き、勝利の旗を打ち立てる闘士の異名だ。
 伸一は、そう信じるがゆえに、今後、創価学会の前進が、後退するようなことがあれば、「その全責任は諸君にある。諸君が、だらしないからである」と、言明したのだ。
 彼のその思いは、女子・鳳雛グループに対しても同じであった。
 大会の最後に、伸一は歌を詠み、贈った。
 
  鳳雛  君ら巣立ちて 大鳳  広布の桜を 見つめ飛びゆけ
 
  伸一は、鳳雛会に限らず、すべての人材育成グループは、いな、すべての同志は、広宣流布の使命を共に分かち合う山本伸一であると確信していた。
 彼が、各種の人材育成グループを結成してきた目的の一つは、その自覚を促すための契機をつくることにある。
 ゆえに、いかなるグループのメンバーに選ばれようが、本人が自覚をもとうとしなければ、人材育成のための周囲の人たちの努力も、水泡に帰すことになる。
 自覚――それは、本来、「自ら覚す」、すなわち、自ら悟りを開くことを意味する。
われらの自覚とは、戸田城聖が獄中で悟達したように、自身が地涌の菩薩であると確信し、生涯、師弟不二の心で、広宣流布の大願に生き抜くことだ。全人類の幸福と平和の実現を、わが使命とすることだ。
 その時、自らの幸福のみを願っていた生命の扉は開かれ、崇高なる利他の大道が広がるのである。そこに、境涯革命、人間革命の直道があるのだ。
 まさに、地涌の使命の自覚は、偏狭なエゴイズムの対極に立つ、人間の生き方の確立であるといってよい。