小説「新・人間革命」 7月5日 敢闘27

九州総合研修所では、連日、人材育成グループなどのさまざまな行事が行われ、山本伸一の敢闘が続いていた。
 八月の二十二日、彼は、同研修所で開催された本部幹部会、鳳雛グループ結成十周年の記念大会などに相次ぎ出席した。
 この八月度本部幹部会では、七月度の本部幹部会で発表した、広宣流布の指導者としての六つの心得に続いて、さらに、リーダーとしての新たな六項目の心構えを発表した。
 「後継の人を大切に」
 「年配者を大切に」
 「ふだんの言動を大切に」
 「ふだんの身なりを大切に」
 「婦人、女子を大切に」
 「職場、社会を大切に」
 本部幹部会終了後、伸一が庭に出ると、各地から集った青年たちが駆け寄って来て、幾重にも彼を囲んだ。そのなかに、八月二十九日に県文化祭を行う埼玉のメンバーがいた。
 この一九七六年(昭和五十一年)後半を飾る活動が、庶民文化の祭典ともいうべき、県・方面の文化祭であった。
 八月十五日の、伸一が出席して行われた茨城郷土文化祭、そして、京都・滋賀・福井合同の青春文化祭に始まり、十月の上旬にかけて、全国二十八会場で盛大に開催されることになっていたのである。
 愛する同志が、郷土愛と不屈の闘志を燃やして創り上げる、汗と涙と歓喜の、華麗なる人間讃歌の舞台である。
伸一のスケジュールは、既に諸行事で埋まっていたが、彼は、可能な限り出席して、皆を讃えようと、心に決めていたのである。
 埼玉の青年が、頬を紅潮させて語った。
 「先生! 二十九日の埼玉県文化祭は、必ず大成功させます。ぜひ、ご出席ください」
 伸一は、ニッコリと頷き、言下に答えた。
 「必ずまいります! 埼玉は大事だもの。
 埼玉には、無限の未来がある。計り知れない可能性がある。二十一世紀の新生の都であり、広宣流布の原動力になる宝土です」