小説「新・人間革命」 7月28日 敢闘47

会場には、山本伸一のために、机とイスが置かれ、マイクも用意されていた。
 伸一は、会場提供者の時田勇雄と握手を交わし、丁重に御礼を述べた。
 「いつも会場として使わせていただき、大変にありがとうございます。それによって、地域広布が、どれだけ前進しているか、計り知れません。
 これからも、よろしくお願いします」
 さらに、その場にいた、時田の子どもたちにも声をかけた。
 「両親を大切にするんだよ。実は、それが仏法に通じていくんです。仏法というのは、人間の道を説いているんです」
 それから皆で、「人間革命の歌」を声高らかに合唱した。
 「さあ、勤行をしましょう。
 祈るにあたって大切なことは、願いは、すべて叶うのだという強い信を込め、力強く祈ることです。
 広宣流布のために戦っている地涌の菩薩である師弟が、心を合わせて祈るんですから、願いが叶わぬわけがありません。
 広宣流布誓願して、題目を唱えていくならば、それは、地涌の菩薩の祈りです。その時、わが生命は、地涌の菩薩の境涯へと開かれていくんです。ゆえに、その祈りには、諸天諸仏を、大宇宙を動かす力があり、自分も、ご家族も守られ、個人の願いもまた、成就していくんです。
 したがって、広宣流布を祈り抜いていくことが、自分の境涯を開き、願いを成就していく直道なんです。
 そして、決意、祈りは、具体的であることが大事です。
今日は、あの人に信心の話を教えたい”“この人を座談会に参加させよう、あるいは、信心の実証を示すために、就職を勝ち取らせてください”“元気に学会活動に走り回れるように、この病を治してくださいといった明確な祈りです。
 祈りが叶えば、歓喜がわきます。それがまた、新たな活力になっていきます」