小説「新・人間革命」 7月30日 敢闘49
山本伸一は、皆が信心の大功徳を受けてほしかった。ゆえに、その源泉となる、唱題の大切さを力説していったのだ。
「唱題根本に、広宣流布に生き抜いていくならば、来世も、願ってもない最高の境涯で、御本尊のもとに生まれ合わせることができる。つまり、後生善処ということです。
また、信心を貫いていくならば、死も決して恐れることはありません。
信心が強盛ならば、生きている時も、死後も、御本尊に守られ、幸福と歓喜の大道が続くことは間違いありません。
世相は、大変に厳しい状況です。しかし、皆さんは、何があっても、唱題第一に、生命力豊かに、堂々と、朗らかに、勝ち進んでいただきたいと、心からお願いし、私の話といたします」
それを、万人に教え、知らしめるために、創価学会があるのだ。
唱題第一に、共に広宣流布へ前進することを誓い合った参加者は、頬を紅潮させ、笑顔で伸一を見送った。
帰りの車中、彼は、同行の幹部に語った。
「八月二十四日――この日に、会員のお宅を回ることができた。一番大事なことができたと思っている。幹部は、どんなに忙しくとも、第一線の同志のことを、片時も忘れてはならない。
常に、同志に会い、激励し続けるんだ」
■引用文献: 注 『周恩来選集』森下修一編訳、中国書店