【第5回】 勇気(下) 2010年 3月29日

幸福の太陽はわが胸に
御聖訓「闇なれども灯入りぬれば明かなり」
一人立つ精神で人々の心に春の光彩を
日本一のわが地域を創れ 使命の天地で舞いゆけ!
雨の日も嵐の日も、雲の上では太陽は厳然と輝いている。嵐が去れば、さらに明るく輝く
 
熊沢女子部長 私たちが大好きな歌「華陽の誓い」には、「今 師とともに 太陽の心で 厳しき冬にも 春の光彩を」という一節があります。 いまだ経済不況の闇も深いです。それだけに、この「太陽の心」を、ますます明るく強く! と決意しています。
 
池田名誉会長 そうだね。家庭でも、職場でも、地域でも、乙女の朗らかな笑顔が光っていれば、皆が元気になっていく。 「太陽の心」とは、無限の勇気です。希望です。冷えきった人々の魂を温め、蘇らせる「やさしさ」です。闇を照らす慈愛の光です。 万人の生命に、この「太陽」は厳然と存在している。 日蓮大聖人は、日眼女に、「大闇をば日輪(=太陽)やぶる」「法華経は日輪のごとし」(御書1114ページ)と仰せになられました。
どんなに悩みがあっても、題目を唱えれば、因果倶時で、その瞬間から、わが胸中には妙法の太陽が昇る。仏の力が湧いてくる。ゆえに皆さん方は、絶対に不幸になど、なるわけがない。自分が、悩み祈り、苦労している分だけ、必ず成長できる。また、より強い光で皆を照らしていけるのです。
 
佐藤青年部長 先行きの見えない時代にあって、多感な青年の心は確かな光明を求めています。 「冬は必ず春となる」(同1253ページ)――この希望の大哲学を語りに語り、広げてまいります。
 
名誉会長 頼むね。君たちが勇気を出して語った分だけ、仏縁が結ばれる。希望が広がる。「声」が闇を破る光となる。社会を明るく照らす。
 
熊沢 池田先生は、対話の大光を世界中に広げてこられました。私たちも続きます。
 
名誉会長 「太陽の心」といえば、モスクワ児童音楽劇場の創立者ナターリヤ・サーツさんが思い出されます。 30代の時、夫をスターリンの非道な粛清で殺され、自身も「人民の敵の妻」として、極寒のシベリアに流された。 しかし、絶対にへこたれなかった。過酷な強制収容所にあっても、「将来、必ず児童音楽劇場の建設を」と決意した。自分で自分の人生に「使命の太陽」を輝かせたのです。 そして、苦難を耐え抜いて「夢」を実現し、一生涯、芸術の母として、生きる喜びの光を皆に贈っていかれました。
 
熊沢 サーツさんは、先生との出会いを宝にされ、わが華陽の先輩に言われました。「池田先生が初めてモスクワの児童音楽劇場を訪ねてくださった時、劇場に太陽が入ってきたようでした」と。
 
名誉会長 御聖訓には、こう仰せです。 「闇なれども灯入りぬれば明かなり」「明かなる事・日月にすぎんや浄き事・蓮華にまさるべきや、法華経は日月と蓮華となり故に妙法蓮華経と名く」(同1109ページ) 妙法を持ち、広宣流布に生きる皆さんは、全員が太陽です。清らかな妙法蓮華の当体です。これが「華陽」の生命なのです。 ですから、胸を張って自信満々と進むことです。わが生命を遠慮せずに輝かせていくことです。 地味な仕事や陰の舞台でも構わない。自分の仏の生命が光っていれば、そこが本有常住の「寂光土」となります。その歓喜の姿が、家庭や職場や地域の人々にとって希望の輝きとなるのです。
 
逆境こそチャンス
佐藤 過疎化や青年人口の減少する地域でも、青年部の友が懸命に活動しています。こうした地域で、心がけていくべきことは何でしょうか。
 
名誉会長 農漁村や離島などで奮闘する友の活躍は、本当に尊い。偉大な青春です。 青年が少ないということは確かに大変だ。でも発想を変えれば、少ないからこそ一人が光るチャンスとも言える。地域の方々の注目度も高いんだよ(笑い)。実際に学会青年部には、大きな期待と信頼が寄せられている。
 
佐藤 はい。岩手県北部の軽米町では、圏男子部長が、7年前から地域のバスケットボール協会の会長を務めています。「町長杯バスケットボール大会」を企画して、小学生のチームを招きました。年々、競技人口も増加し、町の活性化の大きな力と感謝されています。 各地の農漁村ルネサンス体験主張大会、北海道の青年主張大会などでも、「地域の発展を担い立つ存在」と反響は大きいです。
 
名誉会長 頼もしいね。「師子王の心」「太陽の心」とは「一人立つ勇気の心」です。 地域に元気がないなら、自分が明るく変えていけばいい。青年ならば、日本一の「わが地域」をつくる気概で立ち上がってもらいたい。誰かではない。自分がやる。これが学会精神です。 大聖人は、「其の国の仏法は貴辺(=あなた)にまかせたてまつり候ぞ」(同1467ページ)と仰せです。 仏法の眼から見れば、皆、それぞれに、久遠から誓願して躍り出た使命の天地です。 広宣流布といっても、自分の振る舞いにかかっている。
 
 一つ一つ、具体的に祈る。
 一人一人、大誠実で語る。
 一歩一歩、粘り強く進む。
 一日一日、思い切り戦う。
 
 その真剣な努力のなかで、広宣流布の大願に立つ地涌の友は必ず続く。地域は必ず変わる。未来は絶対に開けます。これが「地涌の義」です。
 
変毒為薬の妙法
熊沢 家庭においては、父親が信心をしていなかったり、学会活動に理解がなかったりする場合があります。
 
名誉会長 ご家族が信心していなくても、何の心配もいりません。その中で信心を貫いていること自体が全部、家族の大功徳に変わるのです。 南米アルゼンチンの格言にも、「太陽は皆のために昇る」とあります。 一人が信心に立ち上がれば、わが家に太陽が昇る。全員を幸福の方向へ、成仏の方向へ導いていけるのが、妙法の功力なのです。 あせる必要は何一つありません。妙法には絶対の力があります。最後は必ず皆が大きく包まれていくのです。
 
熊沢 また皆が信心をしていても、さまざまな家族の問題で悩む同志もいます。
 
名誉会長 どこの家も、それぞれの課題がある。だから成長できる。一家の尊い信心の歴史を刻めるのです。 お父さんやお母さんが病気の人もいるでしょう。 大聖人は「南無妙法蓮華経は師子吼の如し・いかなる病さはりをなすべきや」(御書1124ページ)と、お約束くださっています。 信心で捉えれば、すべて深い意味がある。必ず「変毒為薬」できるのが、妙法です。 天気だって雨の日もある。雪の日も、嵐の日もある。 しかし雲の上では、太陽が厳然と輝いている。ひとたび嵐が去れば、いっそう明るく輝きわたります。 妙法を持ち、広宣流布に生きゆく生命は太陽です。 「太陽は毎日昇る」とは、わがアフリカの同志が大切にしている格言です。要は、自分が輝き続けることだ。 どこまでも同志とともに、学会とともに、毎日、太陽が昇る如く、たゆまず前進すれば、何ものにも揺るがない常楽我浄の軌道を上昇していくことができるのです。
 
人間革命の連帯を
佐藤 先生から「師子は油断しない」とも教えていただきました。「師子王は前三後一と申して・ありの子を取らんとするにも又たけきものを取らんとする時も・いきをひを出す事は・ただをなじき事なり」(同ページ)と仰せの如く、青年部は油断を排し、前進してまいります。
 
名誉会長 師子王には隙がない。勝ち抜いていく生命は、永遠に真剣勝負なのです。太陽が横着したら大変じゃないか(笑い)。 師弟の道に徹し抜くとき、自分が師子となり、太陽となり、生命は永遠の勝利の次元に入っていくことができる。ここに、この世で最も尊貴な師弟の光があるのです。
 
熊沢 池田先生と対談集を発刊されたブラジル文学アカデミーアタイデ総裁も、私たち青年に語られました。 「青年は、偉大な師匠をもちなさい」「今の困難に動揺させられてはならない。自分の理想を邪魔しようとするものに対しては、一歩も退いてはならない」と。 世界の人権の獅子たちが、池田先生に薫陶をいただいている私たちに、人類の未来を託してくださっています。
 
名誉会長 青年部の使命はあまりにも大きい。 だからこそ、君たちが世界の友と励まし合いながら、「人間革命」の光の連帯を、若い世代に広げていっていただきたい。 スイスの大哲学者ヒルティは、「光の存在そのものがつねにやみへの攻撃である。やみは光とならんで存続することはできない」と言った。 私は「わが創価の青年よ、正義の師子王たれ! 勝利の太陽たれ! 一人立つ勇者たれ!」と呼びかけたいのです。
 
 ヒルティの言葉は、小池辰雄・登張正実・小塩節訳『眠られぬ夜のために』白水社から