【第13回】 未来を創る(上)2 2010-8-13

幸福の安全地帯
 
河本 私は小学6年生の時、母親が、がんで入院しました。父は仕事が多忙ななか、懸命に私たちの面倒をみてくれましたが、家を留守にすることも多く、幼い妹たちと3人で不安に押しつぶされそうでした。 この時、真っ先に駆けつけて励ましてくれたのが、地域の学会の同志の方でした。 折あるごとに声をかけ、一緒に題目をあげてくれました。ご飯をごちそうになったこともあります。
 池田先生の指導を通しての励ましを支えに、家族は団結し、母も病魔を乗り越えることができました。
 
名誉会長 学会ほど温かな「励ましの組織」はありません。まさしく学会は「人間共和のオアシス」であり、「幸福の安全地帯」です。 どんなに優秀なコンピューターでも、人間は育てられない。教科書だけでは、人格は鍛えられない。 ダイヤモンドはダイヤモンドでしか磨けません。人間を磨くのは人間です。人間同士の交流であり、触れ合いです。これだけは、時代が移ろうとも変わらない。 「あのお兄さんが通ってくれたから!」「あのお姉さんの一言があったから!」――担当者の励ましを原点に頑張ってきた未来部員、青年部員が全世界に幾十万、幾百万といる。私は日本のみならず、各国から、そうした喜びと感謝の報告を受けています。
 
河本 私が少年部長時代に出会った、埼玉県の未来部の合唱団の友がいます。 両親の離婚、そして同級生のいじめにあい、中学の後半はほとんど不登校でした。 転機となったのは、高等部担当者の熱心な誘いで参加した創価大学オープンキャンパスでした。 創大生の温かな歓迎に感動するとともに、少年部時代に立てた創大進学の誓いを思い起こしたのです。彼は猛勉強を開始して見事、創大合格を勝ち取りました。 大学1年の時、池田先生が授業参観に来てくださり、思いもかけず、創立者と並んで法学の講義を受けることができました。先生からの激励を胸に、今、大学院生として研究に励んでいます。
 
名誉会長 よく知っているよ。立派になったね。 ともあれ、2030年に迎える創立100周年を勝ち開いていくのは、今の青年部・未来部の君たちです。 そして、2001年5月3日から7年ごとのリズムで前進を開始した、第2の「七つの鐘」を打ち鳴らし、2050年を堂々と荘厳するのも、君たちです。 「一切の仏法も又人によりて弘まるべし」(御書465ページ)です。 どんなに法が立派で、建物が整備されても、人材の流れが枯れてしまえば、広宣流布の大河は止まってしまう。 戸田先生も「問題は人だ。全部、人で決まる。一人の青年で決まるのだ」と常々、語っておられた。 「顕仏未来記」には、「伝持の人無れば猶木石の(=木像・石像が)衣鉢を帯持せるが如し」(同508ページ)とも仰せです。「伝持の人」とは「後継の人」ともいってよい。 どんな団体も、後継者がいなければ滅び去ってしまう。正しき信心の後継者をたゆみなく育てていくことが、正法正義を永遠ならしめる唯一の道なのです。
 
希望の太陽と光れ
 
佐藤 池田先生は、今日の少子化の流れをいちはやく察知して、先手を打ってくださいました。 「少子化が進む時代だからこそ、『一人』が大事である。『一人』を徹底して大切にしていくことである。後継の一人一人が、『一騎当千の人材』に育ってこそ、平和の未来は盤石となるのである」と指導してくださいました。私たちも、今まで以上に「一人」を大切にしていきます。
 
名誉会長 どこまでも真心です。情熱です。誠実です。根本は「必ず自分以上に立派な人材に育てるのだ」との強き祈りです。 子どもが見ているのは、担当者の「心」であり、「生き方」です。「真剣さ」です。 私も青年時代から、あらゆる機会を使って、学会っ子を励ましてきました。会合で個人会場を訪れた際には、必ず提供者の方に御礼を述べるとともに、その家のお子さんに声をかけてきました。
 
熊沢 先生の奥様も、幼き日、牧口先生を、座談会の会場だったご自宅にご案内した未来部の第1期生です。さらに奥様は、女子部時代、会合などで、お母さん方に連れてこられた子どもたちに、本を読み聞かせて励まされるなど、まさに「21世紀使命会」の大先輩でもあります。
 
名誉会長 「子どもは未来の宝だ。未来からの使者だと思って大事にしなさい」――これが戸田先生の指導でした。私も妻も、このご指導通りに行動してきただけです。
 
河本 上越教育大学の森島慧名誉教授も、学会の人材育成を評価してくださり、「子どもの発達段階において、20代、30代の青年層の方が、就学期の子どもたちとかかわり、良き兄、良き姉として相談等にものっていることは、大変に重要なことだと考えます」と語られました。
 
名誉会長 良識ある方々は、本当によく見てくださっている。殺伐とした社会にあって、未来の世代を徹して大切にする学会の連帯は、ますます希望と輝いています。
 
佐藤 先生から、「21世紀使命会」と命名していただいて、今年で15周年。先生は同会の友に、「21世紀の広布の指導者を育てる皆様こそ、最高の使命の人であり、大功労者である」と激励してくださいました。
 
名誉会長 人材を育てた人こそが真の人材です。太陽の温かな光があればこそ、万物は成長できる。太陽とは「希望」です。「勇気」です。「慈愛」です。 使命会の皆さんは、ますます意気軒高に未来部員を照らす「太陽」と輝いてほしい。 人の何倍も忙しいし、思うようにいかないことも多々あるでしょう。でも、太陽は、何があろうとも、平然と悠然と昇る。わが使命の軌道を、迷わず惑わずに進む。 大聖人は「法華経は日輪のごとし」(同1114ページ)と仰せです。わが胸中に、何ものにも負けぬ常勝の太陽を赫々と昇らせていくのです。
 
((下)に続く)