【第14回】 未来を創る(下)1 2010-8-14

勉学は世界への翼
未来部から英知の陣列を
世代間ギャップはどうすれば?
世代が違うから意味がある。大きな視野に立ち、良き兄・姉として助言を
子どもたちの心を「明るく」「軽く」!
無限の可能性を開く力に
御聖訓「法華経の命を継ぐ人」を育成
家庭教育へのアドバイス
 
(1)信心は一生。今は勉学第一で
(2)子どもと交流する工夫を  
(3)父母が争う姿を見せない  
(4)父母が同時には叱らない  
(5)公平に。他の子と比較しない
(6)親の信念の生き方を伝える 
 
熊沢女子部長 未来部には、担当者の励ましをきっかけに飛躍したメンバーが多くいます。 私自身、中学3年生の時に大きな転機がありました。創価高校の受験を考えてはいたものの、勉強が思うように進まず、あきらめかけていた時に、担当者の方が激励してくださったのです。 「可能性がある限り、絶対にあきらめちゃだめだよ!」――その言葉に奮起して、真剣に勉強を開始できました。今でも深く感謝しています。
 
池田名誉会長 創価大学創価学園を受験してくださった皆さん、また、入学された皆さんの陰に、どれほど多くの方々の激励や支えがあるか。私は、創立者として心から感謝を申し上げたい。 若い伸びゆく命にとって、真心の一言の励ましは、成長を加速する勢いになります。 日蓮大聖人は、「人がものを教えるというのは、車が重かったとしても油を塗ることによって回り、船を水に浮かべて行きやすくするように教えるのである」(御書1574ページ、通解)と仰せです。 大切なのは、未来部の友が前へ進めるように、自分の可能性を発揮できるように、励ましていくことです。心を「軽く」してあげることです。「強く」「明るく」してあげることです。 たとえ会えなくても、電話の一言で、目の前の壁が破れることもある。一通の置き手紙が、その人の人生を変える場合だってある。
 
河本総合未来部長 特に、大学や高校等への進学を目指すメンバーにとっては、大事な時期に入ります。家族はもちろん、青年部の担当者も、受験生への温かな激励を心がけていきたいと思います。
 
名誉会長 受験生は、大人が思う以上に、大きな重圧や不安と戦っているものです。 大歴史学者のトインビー博士は、難関の試験を前に、重圧で押しつぶされそうな時、両親の励ましが支えになったと振り返っておられました。 「ベストを尽くせばいいんだ。それ以上のことは誰にもできはしない」と。 伸び伸びと自分らしく力を出し切っていけるように、聡明な応援をお願いします。
 
「日本第一の智者に」
 
佐藤青年部長 「戸田大学」に学ばれた池田先生は、五大州の最高学府から295もの名誉学術称号を受けてこられました。まさに、世界一の知性の宝冠です。 私たちは今、誉れある「池田大学」の一員として、先生から一番大切なことを教えていただいています。先生に続いて、創価の青年は、世界最高の英知の陣列を築いてまいります。
 
名誉会長 「学は光なり」。これが、大教育者であられた牧口先生、戸田先生の心です。この猛暑のなか、創価大学では、夏期スクーリングが行われ、通信教育部の方々が真剣に学ばれています。 海外からも多くいらしている。これほど尊い向学の姿はありません。 いわんや、未来部の皆さんにとって、学ぶことは、かけがえのない権利です。特権です。 勉強をすれば、自分の視野が広がる。活躍の舞台が大きくなる。今まで見えなかった世界が、はっきりと見えてくるようになります。大空から大地を見渡す「翼」を手に入れるようなものだ。 ゆえに、今は大いに学んでもらいたい。良書を読んでもらいたい。できることなら、大学へも進んでもらいたい。
 
 
佐藤 「自分は大学へ行けなかったけれども、君にはぜひ行ってもらいたい」――担当者の熱い励ましで、進学を決意した未来部員もいます。
 
名誉会長 本当に尊い。真の人間教育者の励ましです。 大聖人は12歳の時から、「日本第一の智者となし給へ」(同888ページ)と誓われました。この誓願が、日蓮仏法の出発点になっています。 この大聖人に直結しているのが、創価学会未来部の誇り高き「勉学第一」の道です。 「御義口伝」には「此の法華経を閻浮提に行ずることは普賢菩薩の威神の力に依るなり」(同780ページ)と仰せです。「普賢」すなわち「普く賢い」リーダーが世界の広宣流布を推進していくのです。 今日、未来部の友が学び、力をつけることは、明日の人類の希望を広げることです。 
 
熊沢 はい。私たち自身が、未来部の友と一緒に、はつらつと学び、仏法の智慧を社会へ発揮してまいります。 今、子どもが直面する問題は、いじめや不登校、引きこもりなど、ますます複雑で難しくなっています。
  
名誉会長 80年前、牧口先生は、『創価教育学体系』の発刊に際して、ご自身の真情を綴られておりました。 一千万の児童や生徒が修羅の巷に喘いでいる現代の悩みを、次代に持ち越させたくないと思うと、心は狂せんばかりで、つまらない毀誉褒貶などは私の眼中にはない わが教育本部の先生方も、この心を心として、本当に大変ななか、第一線の現場に飛び込んで、奮闘されています。一つ一つの課題を打開しゆく尊い「教育実践記録」も、4万事例を超えました。全国各地の「教育相談室」も、退職教員の集いである「教育名誉会」の方々も、模範の依怙依託の存在と光っています。 学校だけではなく、家庭も、地域も、社会も、子どもたちの幸福のため、教育力を高めていくことが大切です。 アメリカの未来学者のヘンダーソン博士も、「子どもたちのために奉仕する愛情と情熱を、社会全体に蘇らせる必要がある」と語られていた。 その先駆の模範が、地区や支部が一体となって、子どもたちを見守り育む、学会家族の世界です。
 
1ミリでも前へ!
 
河本 本当にそうですね。ある地域で、5年に及ぶ不登校を乗り越えた、母と子のリレー体験をうかがいました。 息子さんは貝のように口を閉ざし、何もしゃべらない日々が続いた。しかし、お母さんは、先生の「夜は必ず朝になる」との指導と先輩の励ましに勇気を奮い起こし、一心不乱に題目をあげました。学会活動にも、どんどん積極的に飛び出していった。 そして、その日のことを、息子さんに語って聞かせたといいます。すると、ぽつりぽつりと口を開くようになり、やがて笑顔が戻り、ついには「大学に行きたい」と言い出すまでになった。 夢を実現し、今、創価大学の大学院で学ぶ彼は、先生の『青春対話』の一節を大切にしています。 「もがきながら、題目をあげ、1ミリでも2ミリでもいいから、何か前へ進む。そうやって生き抜いていけば、あとで振り返って、ジャングルを抜けたことがわかる」と。 
 
名誉会長 私もうかがいました。このお母さんは一番、苦しい時に、「必ず乗り越えて、いつか同じ悩みを持つ人を励ましていこう」と決めておられた。だから強かった。 そして、今、その通りに、地域の子育てのネットワークの要となって、皆を励まされています。 ここに、仏法の「願兼於業(願、業を兼ぬ)」という、宿命を使命に変えていく生き方があります。 経済苦や病気など、どの家庭にもそれぞれの課題があるでしょう。御書には、それは「十羅刹女が信心を試しているのであろう」(1544ページ、通解)と説かれています。 どんな難問に直面しても、臆してはならない。いよいよ、自分の信心が試されているのだと心を定めて、勇敢に立ち向かうことです。必ず変毒為薬して、大きく境涯を開くことができるからです。 
 
佐藤 学会家族には、こうした黄金の体験が、無数にあります。内外の友に、功徳の体験を大いに語っていきたいと思います。 
 
名誉会長 時代は、仏法を強く深く求めています。大聖人は「力あらば一文一句なりともかたらせ給うべし」(御書1361ページ)と仰せです。 青年部は大確信に燃えて、新しい広宣流布の拡大の波を起こしていただきたい。 
 
熊沢 はい。私たち池田華陽会も、最高に充実した朗らかな青春の道、そして最高に価値ある幸福な人生の道を、同世代の友に自信満々と語ってまいります。
 
佐藤 悪縁の多い時代にあって、創価の対話こそ善縁の拡大です。 今は携帯電話やパソコンによるメールやインターネットを介した犯罪に、未成年が巻き込まれるケースも増えています。大切な未来部員や青年部員が、事件や事故に絶対に巻き込まれないよう、皆で注意していきたいと思います。 
 
名誉会長 大聖人は、末法悪世の乱れた人心を「虎のごとし」(同1217ページ)と述べておられる。 とくに現代は、凶悪な犯罪や、これまでの常識が通用しないような事件も多い。日ごろから、地域や家庭で注意を呼びかけていくことが重要です。「心にふかき・えうじん(用心)あるべし」(同1176ページ)です。油断は大敵です。根本は、真剣な日々の勤行・唱題です。
 
まず話を聞くこと
 
河本 ところで、未来部と接するなかで、「どうしても世代間ギャップを感じてしまう」という担当者の声もあります(笑い)。 
 
名誉会長 そうだね。ただ、君たちが未来部員だった時の担当者の方々も、きっと同じ悩みを持っていたと思うよ(笑い)。 でも、世代が違うからこそ、子どもたちに伝えられることがある。 学校では、だいたい同じ年齢の友人たちとの付き合いしかないのが普通です。 そうした中で、社会経験もあり、一回り大きな視野に立つ先輩の意見やアドバイスは、本当に貴重です。教育の面でも、社会的に見ても、実に深い意味があります。 良き兄、良き姉として、話をじっくりと聞いてあげることです。まず、こちらが心を開いて仲良くなることです。 難しく考えることはありません。仏法は本有無作です。広宣流布へ邁進する、ありのままの大情熱を誠実に伝えていけばいいのです。
 
佐藤 池田先生が今、対談を進めておられるアメリカの歴史学者のハーディング博士も、語られていました。 「大人や教師が、失意や焦燥の中で、子どもたちに接しなければならない場合もあるでしょう。しかし、それ自体も、格好の教育環境となるのです。つまり、子どもたちに、大人がそうした困難をどう乗り越えていくかを見せてあげる好機となるからです」
 
名誉会長 子どもたちは本当によく見ている。大空へ伸びゆく若木のように、太陽の希望の光を求めている。心を満たす豊かな滋養を、真剣に求めています。だから、スポンジのような吸収力を持っている。グングン成長していくんです。 前にも申し上げた通り、大聖人は、南条時光を未来部の年代から、何度も何度も激励しておられました。 若くして父を亡くした時光に、まさに慈父のごとく、一人の人間としての大成を願われて御指導されています。
 
熊沢 時光が大聖人から賜った御手紙は、御書全集で30編を超えます。
 
名誉会長 その一編一編が、未来部にとっても永遠の指針です。 「親によき物を与へんと思いてせめてする事なくば一日に二三度え(笑)みて向へとなり」(同1527ページ)とも、こまやかに教えてくださった。子どもが微笑んでくれるだけで、親はうれしいものなんだよ(笑い)。 
 
河本 「親孝行」は、先生から繰り返し教えていただいた、未来部の合言葉です。