【第14回】 未来を創る(下)2 2010-8-14

三世に輝く王者に
 
名誉会長 大聖人は、未来を担いゆく時光に期待されるがゆえに、信心の姿勢については厳しく御指導された。 10代の時光に、退転者、反逆者の名前を列挙されて、その師敵対と破和合僧の本質を教えてもおられます。 「日蓮が弟子にせう房と申し・のと房といゐ・なごえの尼なんど申せし物どもは・よくふかく・心をくびやうに・愚癡にして・而も智者となのりし・やつばらなりしかば・事のをこりし時・たよりをえて・おほくの人を・おとせしなり」(同1539ページ) 要するに「貪欲」「臆病」「愚癡」「増上慢」に心を食い破られた人間であると。 後継の若き生命に、正義と真実を鮮烈に刻みつけていかれたのです。この御指導を受け切って、時光は悪と戦い、同志を守る破邪顕正の指導者へ成長していきました。 弟子が師弟不二の正義に奮い立った時、令法久住の道が開かれるのです。
 
熊沢 長い目で見守ってくださる師匠のまなざしほど、ありがたいものはありません。高等部の代表で結成された鳳雛会、鳳雛グループの方々が、結成25周年(1991年)の夏にお届けした記念文集に、池田先生は揮毫してくださいました。
 
 「鳳雛会 永遠に万歳 勝利の旗高く 万歳 合掌」
 「学会と同志のために  戦い尽した勇者は  人間として  また正義の人として
  三世に輝きわたる  幸福と勝利の王者なり」
 この言葉の下には、舞い飛ぶ、たくさんの鳳雛の絵を描いてくださったのです。
 
名誉会長 人を「育てる」ということは、その人のことを「祈り続ける」「励まし続ける」ことです。一人一人が鳳雛から大鳳へ立派に成長していく晴れ姿を見守る。これほどの喜びはありません。
 
自身の成長が根本
 
佐藤 今年の未来部躍進月間では「家庭における信心の継承」も重要なテーマです。未来部の子どもを持つメンバーからは、どのように信心を継承していけばいいか、相談を受けることがあります。
 
名誉会長 かつて私は、家庭教育へのアドバイスとして大要、次の点を挙げました。
 1、信心は一生。今は勉学第一で。
 2、子どもと交流する日々の工夫を。
 3、父母が争う姿を見せない。
 4、父母が同時には叱らない。
 5、公平に。他の子と比較しない。
 6、親の信念の生き方を伝えよう。
子どもたちは、一人一人が無限の力を秘めている。かけがえのない豊かな個性を持っています。朗らかに自信をもたせ、ほめて伸ばしてあげてほしい。 ともあれ、信心の継承といっても、根本は親自身が信心で成長する以外にない。「信心の偉大さ」「学会の素晴らしさ」を、自らの躍動する姿で快活に示していくのです。 戸田先生は「子どもは、いつも理想をもって引っ張っていってあげなさい」と語られていた。子どもたちに自分の理想を誇りをもって語れる。こんな素晴らしい親から子への贈り物はありません。 大聖人は、門下のお子さんの誕生を寿がれて「現世には、必ず跡を継ぐ親孝行の子であり、後生には、この子に導かれて仏になられるであろう」(同1123ページ、通解)と仰せです。 学会家族にあっては、地域の未来部が、みな、わが子に等しい宝です。やがて迎える2030年、創立100周年のその時、今の未来部のメンバーは、さっそうと若きリーダーに成長していて、口々に語ることでしょう。 ――自分の今があるのは、あの時に励ましてくれたお兄さん、お姉さん、また、地域のおじさん、おばさんたちのおかげだ、と。 そして深き恩返しの心で、今度は、その時の未来部の友を真剣に育てていってくれるに違いない。地涌の友から、次の地涌の友へ、「法華経の命を継ぐ人」(同1169ページ)のリレーが続きます。 壮大な師弟の魂の継承がある限り、創価学会は万代に栄えます。広宣流布の松明は、万年へ燃え続けます。 「正義の走者」「勝利の旗の走者」である未来部、そして青年部の皆さんに、私はあらためて心から申し上げたい。「21世紀の創価学会を、よろしくお願いします!」と。
 
 トインビーについての引用は山口光朔・増田英夫訳『A・J・トインビー 回想録I』社会思想社から。