【第32回】 日本一の美しき湖国 滋賀 2010-9-17

「一人」は「万人」に通ずる
 
滋賀は「湖国」である。戦国時代、「この地を制する者は天下を制す」といわれた。交通の要衝であり、琵琶湖は物流のハイウエーだった。人間と文化と社会を結んだ天地――。
 その琵琶湖のほとりに立つ滋賀文化会館(大津市)を平成7年(1995年)10月7日、池田名誉会長は訪問した。
 
 大津城  われらの誇りの 琵琶湖まで 庭と詠わむ 滋賀の長者は
 
 滋賀文化会館は、この5カ月前に開館したばかり。名誉会長は提案していた。
 「地域に開かれた素晴らしい会館にしよう」
 友は、この提案を実現するための委員会をつくり、検討を重ねた。その結果を地域貢献の「滋賀ルネサンス運動」として、翌8日の滋賀県最高協議会の席上、発表した。
 名誉会長は期待した。
 「一人一人を大事にしよう。一人を味方にすれば、万人が味方になるのです」
 
 名誉会長の振る舞いが、この言葉そのものだった。
 ある人材グループが作成したアルバムを開いたときのこと。書面には「私たち9名は……」と記されているのに、アルバムの写真には8人しか写っていない。
 「もう一人は?」と名誉会長。入院していることが分かると、電光石火で励ましの手を打った。
 入院中の友は、師の慈愛に奮起。予定より早く退院した。現在、滋賀研修道場(米原市)の地元で元気に活躍する。
 昭和57年(82年)3月、滋賀県草津市の中学校3年3組に、名誉会長からメッセージが届いた。
 「平和学習」に取り組んできたこのクラスでは卒業文集の作成にあたり、生徒一人一人が世界のリーダーや識者に手紙を書いて、文集へのメッセージを依頼した。クラスの中等部員が、名誉会長あてに手紙を書いていた。
 反転攻勢の最中。連日の行事。時間をこじ開けるようにして名誉会長は、大誠実の心で応えた。「一人を大切にすること」は、「わが身を惜しまないこと」であった。
 メッセージには、こう綴られていた。
 「私は、『希望』という言葉が大好きだ。
 『希望』は、人間だけの持つ特権であるからだ。
 『希望』は、未来に自身の花を咲かせゆく種であるからだ」
 
 滋賀ルネサンス運動の柱として、名誉会長が滋賀文化会館に来館した翌月(平成7年11月)から始まった「ルネサンスプラザ」。
 そこでは展示コーナー、教育・健康相談あり。各種セミナー、体験学習あり。
 この15年で111回の開催。来場者は40万人を超えた。1回あたり3600人以上の市民が訪れた計算になる。
 ルネサンスプラザに参加して認識が一変した、地元の名士がいる。「学会の皆さんは、とても明るい。笑顔で接してくださる。とても温かい雰囲気を感じます」――今やルネプラの常連である。
 日本一の湖を望む滋賀文化会館は今、市民と市民を結ぶ、日本一の地域の文化センターと輝く。
 名誉会長は詠んだ。
 
 美しき 心と心の 連帯で 滋賀の天地に 功徳の歴史を