小説「新・人間革命」 厳護 21 1月4日

山本伸一の指導には、烈々たる気迫があふれていた。
 参加者は、荒波に厳としてそそり立つ巌のごとき大確信と、不撓不屈の決意を感じた。そして、先生は、何か強く心に期されることがあるにちがいない。
自分も頑張らなければ!と、武者震いしながら、固唾をのんで、彼の次の言葉を待った。
 伸一は、創価学会の信心に、大功徳、大福運がある第二の理由について語っていった。
 「次に、財の供養という次元から見ても、創価学会は、仏法を守るために、報恩と供養の誠を尽くし抜いてきたからであります。
 学会は、かつて世間から、『貧乏人と病人の集まり』などと非難され、軽蔑されながらも、広宣流布をめざして、一心不乱に突き進んでまいりました。
 そして、大聖人の御遺命である事の戒壇となる正本堂をはじめ、大客殿や大講堂、大化城、総坊等々を、私どもの赤誠の浄財をもって、総本山に建立寄進してまいりました。
また、多くの寺院も建立し、今日の盤石なる宗門の威容を整えるに至りました。
 広宣流布を願うがゆえの、日蓮仏法史上、例を見ない、未曾有の財供養であります。
 仏法が真実であるならば、その財供養をなした創価学会員が、陽光が燦々と降り注ぐように、大功徳を受けないわけがないし、大福運が開花しないわけがないと、私は、声を大にして申し上げておきたい」
 参加者は、大きく頷きながら、身を乗り出すようにして、伸一の話に耳を傾けていた。
 「第三の理由としては、法の供養、すなわち、仏法上、最も重要な折伏・弘教という次元から見ても、それを命がけで推進してきたのは、創価学会だからであります。
 戦時中の軍部政府の時代、そして、戦後の混乱期から現在に至るまで、常に弾圧と中傷の嵐のなかで、私どもは、勇猛果敢に折伏を重ね、広宣流布を進めてまいりました。
その結果、日本国内だけでも、数百万世帯の人びとが大歓喜のなか、信心に励んでおります」