小説「新・人間革命」 厳護 26 1月10日
かみくずを ひろいし姿に 仏あり
「白蓮グループ」は、歴史を刻むなかで、組織の充実が図られ、諸会合の運営も担当するようになり、まさに、女子部の総合的な人材育成機関へと発展していったのである。
一九七六年(昭和五十一年)八月には、藤色の「白蓮グループ」の制服が完成している。制服の色を、藤色にしてはどうかと提案したのは、伸一であった。
“藤色、つまり、淡い紫は、清楚ななかにも気品があり、彼女たちを象徴する色である”と、思ったからである。
――七七年(同五十二年)の新年勤行会のあと、伸一は、「白蓮グループ」のメンバーと記念撮影をしながら言った。
「みんな、藤色の制服が、よく似合っているよ。寒いから風邪をひかないようにね」
そして、皆の顔を覚えようとするように、一人ひとりに、視線を注いだ。
「『白蓮グループ』の中心者は?」
「はい。青柳加代です」
メンバーの一人が進み出た。
「よく知っているよ。女子中等部長で、副女子部長だね。高等部の時は、『鳳雛グループ』として、私の御書講義を受けていたね」
「はい!」
青柳は、“山本先生は、自分が高校生の時のことまで覚えてくださっているのか”と思うと、感動で目頭が熱くなった。
伸一は、青柳に視線を注ぎながら語った。
「私が各種の人材育成グループを結成し、全力で育て上げてきたのは、学会員を、民衆を、守り、奉仕していくリーダーをつくるためだ。それを、生涯、忘れないでほしい」