小説「新・人間革命」 厳護 42 1月28日
山本伸一は、「教学の年」を迎えるにあたって、新時代建設の教学運動を推進するには、どの御書から研鑽すべきか、熟慮を重ねた。そして、「諸法実相抄」講義をもって、スタートを切ることにしたのである。
日蓮大聖人が、本抄の「追申」で、「ことに此の文には大事の事どもしる(記)してまい(進)らせ候ぞ」(御書一三六一ページ)と仰せのように、この御書には、仏法の肝要が集約して表されているからだ。
つまり、法本尊の意義が明かされているのである。
いわば、この一書のなかに、人本尊開顕の書「開目抄」と、法本尊開顕の書「観心本尊抄」の結論が包含されているのである。
まさに、本抄には、日蓮仏法の本義が明確に示されているのだ。
ゆえに伸一は、この御書に照らして、「本当の信心とは何か」「大聖人の弟子の実践とは何か」、そして「創価学会出現の意義と使命」とを明らかにしたいと考えたのである。
御書という明鏡こそが、われらの一切の規範であり、指針である。御書に帰ることが大聖人直結であり、そこに信心の王道がある。