小説「新・人間革命」 灯台 1 4月20日

人間という真実から 表現を除けば
 何が残るか
 表現 表現……必然性の表現
 已むにやまれぬ表現
 これは、山本伸一が、一九七一年(昭和四十六年)九月に、学生部に贈った詩「革命の河の中で」の一節である。
 われらは、表現する。
この世で果たすべき、自らの使命を知り得た大歓喜を! 人びとを、断じて不幸になどさせるものかという、慈悲と決意の燃え立つ心を! 大宇宙を貫く仏法という偉大なる生命の哲理を! 文字で、言葉で、行動で……。
 七七年(同五十二年)の一月二十六日は、グアムに世界五十一カ国・地域の代表が参加して行われた第一回「世界平和会議」の席上、SGI(創価学会インタナショナル)が発足してから二周年の記念日であった。
 伸一は、この日の午後、聖教新聞社で、全国から集って来た業務部長らと記念撮影したのをはじめ、本社の各局を回って、職員を激励した。
人間主義の仏法の光を、社会へ、世界へ、未来へと送る、「灯台」の使命を担っているのが、聖教新聞であるからだ。
 記念撮影の折、伸一は業務部長らに語った。
 「遠くから、ご苦労様です。最も尊い存在は、陰で、黙々と頑張ってくださる方です。ゆえに私は、皆さんを尊敬しております。
 また、全国の配達員の皆様方に、くれぐれもよろしくお伝えください。〝無冠の友〟である配達員さんは、学会の最高の宝です。その方々に仕える思いで、私は働きます」
 編集室では、伸一は記者たちに言った。
 「みんな、一騎当千の人材になるんだよ。では、どうすれば、力が出るのか。
 自分の話で恐縮だが、私は、青年時代から〝すべてに勝ち抜いて、戸田先生の正義を世に示すのだ。
先生のために戦おう。先生にお喜びいただこう〟と決めて戦った。つまり、師弟の道に、私の力の源泉がありました」