小説「新・人間革命」 灯台 23 5月17日

情熱を傾け、奮闘する青年には、生命の輝きがある。その光彩が、人を引き付ける。
 仕事に、学会活動に、懸命に頑張る波留徳一を見て、学会の組織では後輩たちが立ち上がり、団結して活動を進めてくれた。また、教学試験が近づくと、壮年部の幹部が、個人教授をしてくれた。
 仕事でも、下請け業者や関係者が、彼のために協力態勢をつくり、支えてくれたのだ。
 「波留さんは、あそこまで一人で頑張っている。なかなかできることじゃない。わしらも、多少、無理な仕事でも、引き受けようじゃないか!」
 ありがたい言葉であった。諸天善神が動き、自分は守られているのだと感じた。
 波留は、自分の力を、もっと学会のため、広宣流布のために役立てたいと、男子部の設営グループ(現在の「中部炎の会」)のメンバーになった。
デザイン会社に勤務した経験もあり、店舗の室内装飾のデザインも手がけているだけに、彼の存在は大きな力となった。
 各種幹部会の字幕のデザインや、文化祭などの設営に取り組んでいった。
 設営メンバーは、皆、仕事や学会活動を終えてから駆けつけ、黙々と作業に励んでいた。裏方に徹し、大きな行事を支える同志の姿に、波留は、学会精神を学んだ。
 その精神を、彼は、職場でも発揮した。自分が表に出るのではなく、陰の力として皆を支えることを、信条としていった。
 波留は、職場では、係長、課長と昇進し、店舗開発を一手に任されるようになっていったのである。そして、部長、取締役を歴任し、一九九三年(平成五年)には、常務取締役になっていく。
 「職場の勝利者に」――それは、既に創価学会の伝統となった。仏法即社会なれば、そこに、仏法の勝利があり、人間の勝利があるのだ。
その先駆にして模範が社会部のメンバーである。社会部員による「信頼の柱」の林立こそ、人間宗教の新しき時代を築く、確固不動な「黄金の柱」となるのだ。