小説「新・人間革命」 灯台 46 6月14日
釈尊は、眉間から光を放って、無数の国土にいる仏たちを見る。それぞれの国土では、諸仏、菩薩が法を説いていた。
釈尊は、諸仏を迎えるために、娑婆世界を変じて清浄にした。
大地は瑠璃で彩られ、宝樹をもって荘厳され、諸仏一人ひとりのために、「師子の座」が用意された。しかし、諸仏の数は膨大で、とても収まりきらない。
その国土は、すべて一つにつながり、広大なる仏国土が出現する。
まさに、法を求め、師匠のもとに弟子が勇んで馳せ参じる、宇宙大の師弟のドラマである。
天台大師は、この「三変土田」について、『法華文句』で、三昧によると解釈している。
三昧とは、心を一つに定めて動じることのない境地、一念をいう。つまり、国土の浄化は、一念の変革によることを表している。
わが身を離れて仏法はない。法華経の一切は、己心の生命のドラマであり、大宇宙も、宇宙を貫く根源の法も、わが生命に収まるのだ。