小説「新・人間革命」 灯台 52 6月21日
「日蓮大聖人の仏法は、『直達正観』、すなわち『直ちに正観に達する』といって、即身成仏の教えです。
大聖人の御生命である御本尊を受持し、題目を唱えることによって、直ちに成仏へと至る、宇宙根源の法則です。
深淵な生命哲理を裏付けとして、実践的には、極めて平易ななかに、一生成仏への真髄が示された、合理的な、全人類救済のための、大法なのであります」
ここで彼は、日蓮仏法のなんたるかを、極めて身近な譬えを用いて、わかりやすく語っていった。
そして、テレビの組み立て方を示し、全体像を明らかにしたのが法華経です。さらに、テレビがどんなものかを、理論的に体系づけたのが、天台の法門といえます。
それに対して、日蓮大聖人は、テレビ自体を残されたことになる。それが御本尊に当たります。
もったいない譬えですが、私どもが御本尊を持ったということは、既に完成した立派なテレビを手に入れたことになります。
部品を組み立てたりしなくとも、理論はわからなくとも、すぐに見ることができる。
それによって、即座に、希望の画像を楽しむことができる。これが、『直達正観』の原理です」
どんなに深淵な哲理が説かれたとしても、人びとが理解できないものであれば、もともとなかったに等しい。民衆が深く理解し、納得し、実践できてこそ、教えは意味をもつのだ。