小説「新・人間革命」 福光 8 2011年 9月9日

西の空が、夕日に染まり始めていた。
山本伸一と、福島、東北の幹部との、屋外での語らいは続いた。
「学会の後継者として、青年時代に必ず身につけてほしいのは折伏力だ。
創価学会は、日蓮大聖人の御遺命である広宣流布を実現するために出現した折伏の団体だもの。
その後継者である青年たちが、弘教の大闘士に育たなければ、学会の未来は開けないからね」 
大聖人は「日蓮生れし時より・いまに一日片時も・こころやすき事はなし、此の法華経の題目を弘めんと思うばかりなり」(御書一五五八p)と仰せである。
その御心を体して、弘教に生き抜くなかに信仰の大道がある。
「先輩は、青年たちに、ただ『折伏をやりなさい』と言うだけではなく、『なぜ、折伏をするのか』を、いろいろな角度から、納得のいくように話してあげてほしい」
折伏は、自身の一生成仏、すなわち絶対的幸福境涯を築く要諦となる仏道修行である。
御書には、「法華経を一字一句も唱え又人にも語り申さんものは教主釈尊の御使なり」(一一二一p)とある。
さらに、「末法にして妙法蓮華経の五字を弘めん者は男女はきらふべからず、皆地涌の菩薩の出現に非ずんば唱へがたき題目なり」(一三六〇p)と断言されている。
私たちは、勇んで唱題と折伏に励むことによって、仏に連なり、仏の使いの働きをなし、地涌の菩薩となり得るのだ。
つまり、自行化他にわたる信心の実践によって、仏の力が涌現し、地涌の菩薩の大生命が脈動する。救世の闘魂と大歓喜が胸中にみなぎり、わが生命の変革がなされていくのである。
そして、それによって、自身の人間革命、宿命の転換が成し遂げられ、絶対的幸福境涯を築くことができるのだ。
また、人びとの苦悩を根本から解決し、崩れざる幸福の道を教える折伏は、最高の慈悲の行である。
人間として最も崇高な利他行であり、極善の行為である。そこに、真実の友情が、永遠の家族愛の絆が結ばれるのだ。