小説「新・人間革命」 福光 11 2011年 9月14日

ここで山本伸一は、八年前にあたる一九六九年(昭和四十四年)の十月、福島総合本部幹部会で示した、「希望に燃えて前進する福島」「生活闘争に勝利の福島」「生命力豊かな信仰の福島」との三指針を確認した。
「第一に『希望に燃えて前進する福島』と申し上げたのは、信心とは、希望を育む力であるからです。
人生には、いろいろな試練があります。各人が、さまざまな宿命ももっています。さらに、信心に励めば、難もあります。順風満帆な人生などありません。
しかし、どんなに深い絶望の闇のなかでも、心に希望の火をともしていけるのが信心なんです。
大聖人は『一生成仏の信心南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経』(御書三八四㌻)と仰せです。
大打撃を受け、何もかも行き詰まったとしても、必ず一切を乗り越え、崩れざる幸福を確立していけるのが妙法なんです。
御本尊を信じ、題目を唱えに唱え、弘教に走り抜いていくんです。そうすれば、絶対に道は開けます。
人間として強くなり、幸せになる使命をもって、この世に出現した私たちではないですか!」
次いで伸一は、〝生活闘争に勝利〟することの意味について述べていった。
「生活闘争の大きな課題は、経済力になりますが、一攫千金を夢見るような生き方ではなく、真面目に、堅実に、また、聡明に、価値創造の人生を生き抜いていっていただきたい。
仏法を持った私たちは、社会の勝利者となるために、人一倍、努力し、工夫し、働き抜いていかねばならない。
さらに、一切の繁栄の根っことなるのが信心です。御書に『根ふかきときんば枝葉かれず』(九〇〇㌻)とあるように、妙法の大地にしっかりと根を張り、福運の養分を吸い上げていってこそ、あらゆる面で栄えていくことができるんです。
どうか、生活闘争の勝利の実証をもって、この『福島』を、その名の通り、必ずや、『福運の島』『幸福の島』にしてください」