小説「新・人間革命」 福光14  2011年 9月17日

山本伸一は、幹部の心得について、微に入り細をうがつように語っていった。
「言葉遣いにしても、横柄であったり、ぞんざいであったり、変になれなれしく、礼を欠くようなことがあってはならない。言葉遣いには、人格が表れます。
年長者に対してはもとより、後輩に対しても、敬語を使うべきです。
また、会員の方々とお会いした時には、すぐに自分の方から、あいさつするんです。
その場合も、ポケットに手を突っ込んだまま、『おうっ』なんて言うようなことをしては、絶対にいけません。青年部出身の幹部は、特に注意すべきです。
きちんと礼を尽くし、真心を込めて、あいさつするのが基本です。
さらに、人と接する時は、笑顔を忘れないことです。
いつも眉間に皺を寄せ、ぶすっとした、機嫌が悪そうな顔や、怒っているような顔をしていたのでは、みんなが不愉快になります。相談もしなくなります。
そうなれば、団結はできません。幹部は、さわやかな笑顔で、皆を包み込んでいくんです。
そして、会員の皆さんへの感謝が大切です。特に、苦労して頑張ってくださっている方や、何かで尽力してくださった方がいたら、機会を逃さず、丁重に『ありがとうございます』と、御礼を言うことです。
組織といっても人間の世界です。感謝の言葉もなく、やって当然というような態度であれば、皆の心は離れていってしまう。
もう一つ重要なことは、迅速な行動です。本部から会員の皆さんにお届けする物が来ているのに、何日もそのままにしてある。
あるいは、会員の皆さんから何か頼まれても、なかなか行動しない。そういう幹部は、信頼を失います。連絡、報告もスピードが勝負です」
皆、自分自身に当てはめて考えてみると、粛然として襟を正さざるを得なかった。
「私は、青年時代から、常に『迅速第一』を心掛けてきました。戸田先生も、『伸一は、
すべて電光石火だな。まるで隼のようだ』と感嘆されていた。それは、私の誇りです」