小説「新・人間革命」 福光 16 2011年 9月20日

山本伸一は、情熱を込めて訴えていった。
「ともかく中心者は、大きな心で、皆を包みながら、仏法のため、同志のために、陰で黙々と汗を流していくんです。
しかし、学会を破壊し、攪乱する動きに対しては、毅然として、阿修羅のごとく戦うんです。そうでなければ、仏子を守ることはできない。
みんなを不幸にしてしまいます。その炎のごとき闘争心、覇気、勇気がなければ、広宣流布の指導者ではありません」
強いからこそ、優しくなれる。人を不幸にしてしまう?優しさ?は、偽善である。
伸一は、言葉をついだ。
「どんなに時代が変わっても、広宣流布の責任を担うという、幹部としての根本の使命は変わりません。
しかし、時代とともに、幹部に求められるものは、変化してきています。
たとえば、かつては?威厳がある?ということが、幹部の大事な要件の一つであったが、今は?気さくさ?や?親しみやすさ?の方が大切です。
ところが、幹部自身に成長がなく、慢心があると、その変化に気がつかなくなってしまう。
旧態依然とした自分のやり方でよいと思い、結局、時代に逆行し、広宣流布を遅らせてしまう結果になる。これが怖いんです」
それから、皆に視線を巡らした。
「ともかく団結だよ。学会に団結がなくなれば、仏法の流れは途絶えてしまう。
堅固な、ビクともしない、団結の石垣をもつ、難攻不落の信心の民衆城を築くんだよ」
そして、団結の要件について語り始めた。
「団結するということは、自分の人間革命をしていくということでもある。自己中心性やエゴイズムを乗り越えなければ、団結はできないからです。
学会の世界にあって、団結するための第一の要件は何か。それは、皆が、広宣流布の師弟という堅固な岩盤の上に、しっかり立つことです。
それが創価の団結の礎です。まずは師匠と呼吸を合わせ、師弟の魂の結合を図ることこそが、異体同心の一切の根本です」