小説「新・人間革命」 福光 17 2011年 9月21日

山本伸一の口調は、厳しくなっていった。
「本気になって団結しようと思うならば、陰で同志を批判し合ったり、悪口を言ったり
しては、絶対にならない。それが、魔の付け入る隙を与え、組織に亀裂を生み、仏法を破壊することになっていくからです。
戸田先生は、よく、こう言われていた。
『この戸田の命よりも大切なのが、学会の組織だ。世界で、いや、大宇宙で、ただ一つの、広宣流布を成就する仏意仏勅の組織なんだからな。
だから、断じて守り抜くんだ』当然、幹部同士で、意見の異なる場合もあるでしょう。また、互いに、要望したいこともあるでしょう。
その場合には、率直に、本人に伝えることです。もちろん、言い方には注意が必要です。感情的になったりしないように、配慮もしなければなりません。
ただ、何があろうと、幹部同士が、陰で反発し合い、足を引っ張り合ったり、派閥をつくったりするようなことがあっては、決してならない。
皆が心を一つにし、団結の歯車が、しっかりと、かみ合ってこそ、広宣流布のモーターは大回転を開始するんです」
陰で同志を批判し、悪口を言うことは、無自覚ではあっても、謗法となるのだ。
十四種の法華経誹謗である十四誹謗のうち、最後の四つは、軽善、憎善、嫉善、恨善、すなわち、信心に励む同志を、軽んじ、憎み、嫉み、恨むことなのである。
法華経誹謗の罪報について、法華経譬喩品には「其の人は命終して 阿鼻獄に入らん」(法華経一九九p)と説かれている。
ゆえに大聖人は、その罪を犯させまいと、「忘れても法華経を持つ者をば互に毀るべからざるか」(御書一三八二p)と、戒められているのである。
同志を誹謗することは、広宣流布の魂の結合を破壊し、皆の心を攪乱させ、前進の活力を奪っていく。
御書には「外道・悪人は如来の正法を破りがたし仏弟子等・必ず仏法を破るべし師子身中の虫の師子を食」(九五七p)と仰せである。深く心にとどめねばならない。