小説「新・人間革命」 福光 19 2011年 9月23日

山本伸一の声が強く響いた。
「その組織が、団結しているか、それとも、幹部の心がバラバラなのかは、会合を、ちょっと見ただけでもわかるものなんです」
皆、不思議そうな顔で伸一に視線を注いだ。
「たとえば、会館で総ブロック長以上の幹部が集って、県の総ブロック長会が開かれたとします。
特に席が決まっていない場合、登壇者以外の県・圏幹部などが、どこにいて、何をしているかを見ればよい。
役員などの任務に就いているのでなければ、なるべく前の方に来て、すべて吸収しようという意気込みで、最も熱心に話を聴くべきです。
学会歌を合唱する時には、力いっぱい歌い、拍手も真っ先に送るんです。そうすれば、ほかの参加者もそれに倣い、会合も盛り上がります。
しかし、?自分とは関係ない?というような、つまらなそうな顔で、後ろの方に座っていたらどうなるか。
会合の雰囲気をこわし、皆のやる気を削いでしまう。
ましてや、会場の中に入りもせず、外で雑談していたりするのは、仏法の会座ともいうべき、創価学会の会合に対する冒?です。
つまり、本当に団結しようという一念があるかどうかは、何気ない振る舞い、言動のなかに表れるということなんです」
伸一は、福島創価学会を、難攻不落の広宣流布の名城にしてほしかった。
どこよりも仲の良い、全国模範の、人間共和の固いスクラムの組織にしてほしかった。
創価学会は、永遠に異体同心の団結で勝っていくのだ!」とは、戸田城聖の師子吼であった。ゆえに伸一は、必死なまでに、団結を訴えたのである。
「人間ですから、?あの人は虫が好かない?ということもあるでしょう。
しかし、広宣流布のために、どんな人とも仲良くやっていこうと努力するなかに、仏道修行があり、人間革命がある。
真剣にお題目を唱え、自分の心を、大きく開いていくんです。自分の境涯が高ければ、人を包んでいくことができます」