小説「新・人間革命」 共戦 34 2011年12月22日

山本伸一は、未来を見すえるように、楽しそうに話を続けた。
「これから、県長などの幹部にも、草創期を戦い抜かれた皆さんより、十歳も、二十歳も若い人たちが登用されていくでしょう。
さらには、三十歳下、四十歳下の人が、各組織の中心者となっていく時代が来るでしょう。それが令法久住の流れです。
若いということは、さまざまな可能性をはらんでいるとともに、当然、未熟な面があります。
先輩の皆さんが、そこをつついて、『力がない』とか、『私は、あの年代の時は、もっと頑張ったのに』と言っているようでは駄目です。
また、『私に相談がなかった』とか、『聞いていない』などと、へそを曲げるようなことがあってはなりません。
批判するためではなく、応援するために、経験豊富な皆さんがいるんです」
先輩が立派であったかどうかは、後輩の姿に表れる。したがって、先輩が後輩の未熟さを嘆くことは、自らの無力さ、無責任さを嘆いていることに等しい。
伸一は、少し厳しい語調で言葉をついだ。
「先輩は菊作りであり、後輩は菊です。ゆえに、もし、組織の中心者になった後輩が、力を発揮できないとしたら、それは、先輩幹部が悪いんです。
先輩が後輩を育てもしなければ、全力で応援もしていないからです。どうか、皆さんは、『後輩のリーダーは、私が守り抜く』との決意に立ってください。
たとえば、県長でも、ブロック長でも、新しい中心者が誕生したら、『今度の県長は、若いがすごい人だ!』『あのブロック長は、大変な人材だ。
みんなでもり立てていこう!』と言って、率先して応援していくんです。
そして、その中心者に、『どんなことでもやらせていただきますから、遠慮なく、相談してください』と言ってごらんなさい。
草創の大先輩が、こぞって、そう言って応援してくれたら、若い人は、どんなに活動しやすいか。
それが、真実の先輩幹部です。それが、創価家族の世界です」