小説「新・人間革命」 共戦 35 2011年12月23日

学会の各県区において、世代交代は、大きな一つのテーマになっていた。山本伸一は、その模範となる伝統を、この山口県につくってほしかったのである。
伸一は、さらに語った。
「草創期に頑張ってこられた皆さんは、先輩たちから、厳しく叱咤激励されてきた経験をおもちの方もいるでしょう。
しかし、人材の育成、教育の在り方は、時代とともに異なってきています。自分が受けた訓練を、そのまま後輩に行うべきではありません。
これからは、賞讃、激励の時代です。努力を的確に評価し、褒め、讃えていく。それが、勇気となり、意欲を育んでいきます。
その場合も、一つ一つの事柄を、具体的に讃えていくことが大事です。また、賞讃のタイミングを外さないことです。
ともあれ、皆さんは、人材育成の達人になってください」
民衆詩人ホイットマンは、「自らが偉大な人を育てる。そして、偉大な人を育てられる人を育てていく
……すべては、そこから始まる」(注=2面)と述べている。創価学会の未来永劫の流れも、そこから始まるのだ。
山口文化会館での懇談会を終えた山本伸一は、同行してきた妻の峯子や地元の幹部と、車で山口市内を視察した。
黄昏時の街路を行くと、県体育館や市民会館があり、長山城跡地であるという亀山公園に出た。同乗していた地元幹部が言った。
「この公園の、昔、城があった辺りに、サビエル記念聖堂が立っています。サビエルというのは、フランシスコ・ザビエルのことです」
フランシスコ・ザビエルか。私は、彼の書簡集を、戸田先生が第二代会長に就任された直後に、一生懸命に読んだ思い出がある。
言葉も、文化、習慣も異なる日本で、彼が、どうやって布教していったのかに関心があったんだよ。?
やがて学会も、世界広布の時代の幕を開かねばならない。その時に、何が大切になるのかを考えておこう?と思ったからなんだよ」