第2回 朝を元気に!   (2012.6.1付 少年少女きぼう新聞)

少年少女部のみなさん、元気ですか?
 今月も、この「少年少女きぼう新聞」で、大好きなみなさん方とお会いできて、私は、とってもうれしい。
 今朝、みなさんは何時に起きましたか?
 がんばって、うんと早起きをした人もいると思います。それでも、もっと早起きをして、すでに、みんなのために、ひと働きも、ふた働きもしている人たちがいます。
 この「少年少女きぼう新聞」を、みなさん方の家に届けてくださった配達員の方々も、そうです。もしかしたら、みなさんのお父さんやお母さんも、新聞を配ってくださっているかもしれません。
 雨の朝など、たくさんの新聞を持って、ぬらさないように届けるのは、とくに大変です。足もとも、すべりやすい。私は、配達員さんの絶対の無事故を、毎日毎日、真剣に祈らずにはいられません。
 まだ、みんなが寝ている時に、人知れず、「きぼう」を運んでくださっている方々に、私たちは心から感謝をささげましょう。
        
 私が、おさなかったころ、家の庭には、ざくろの木が一本ありました。
 幹には、こぶがあって、梅雨のころになると、きれいな赤い花を咲かせ、なめらかな葉を茂らせます。秋に、甘ずっぱい実を食べるのも楽しみでした。
 小学校へ入る前のことです。もともと体が弱かった私でしたが、その日は急に高熱を出して、寝こんでしまいました。「肺炎」という病気でした。熱にうなされ、お医者さんがきて注射を打ってもらいました。
 ようやく、元気を取りもどしたころ、母が言いました。「あの庭のざくろをごらん。潮風と砂地には弱いというのに花を咲かせ、毎年、実をつける。おまえも今は弱くとも、きっと丈夫になるんだよ」
 当時、家は海のすぐ近くで、歩いて10分もかからない場所にありました。ざくろの木は、そんな砂地にも、しっかり根をはっていたのです。
 そのざくろのたくましい姿は、母のやさしい声とともに私の心に刻まれました。
 そして、母に心配をかけないように「丈夫になろう」「健康に生きよう」と誓って、私は生き抜いてきました。
 しかし、10代、20代のころ、私は「結核」という重い病気でした。夜になると、熱が上がり、ひどいせきが出ました。血をはいたこともあります。
 医者からは「30歳まで生きられない」と言われました。
 戸田先生のもとで働くようになり、先生の会社が苦しくなると、お給料をいただけず、着る物も十分に買えなかった。くつしたを自分でつくろい、真冬でも夏のようなかっこうで働きました。でも心は、希望と誇りに燃えていました。
 そして、戸田先生の後を継いで、創価学会の会長になってからは、同志を励ますために、日本中、世界中を駆け回りました。各国の大統領など、いろいろな分野のリーダーとも対話して、後に続くみなさんのために、平和と友情の道を開いてきました。
 ざくろの木に誓ってから、70年以上の月日が流れました。私は本当に丈夫になりました。今も元気いっぱいです。
 前にも申し上げましたが、きょうまで、こうして元気にがんばれる土台ができたのは、早起きして、家の海苔づくりの仕事を手伝ったり、新聞配達をしたりした、小学校時代だと思います。
 どちらも、朝がとても早い仕事です。冬などは、まだ夜が明けず、真っ暗な中で、働き始めました。
 毎朝、起こしてくれるのは、母でした。
 「起きる時間ですよ」
 あたたかな声でした。その一言で、私は「はい!」と返事をして、すぐ起きたと、母がのちに、ほめてくれました。
 私は寝起きがよかったのです。では、なぜ、寝起きがよかったのか。みなさんにも、とっておきのひけつをお教えしましょう。
 それは、夜、早く寝ることです。
 「な~んだ」と思った人もいるでしょう。でも、あたり前のこと、平凡なこと、かんたんなことが、じつは大事なのです。
 朝早く起きて働いて、学校では一生けんめい勉強し、友だちと思い切り遊んだ後、私は本が好きなので読書をしました。
 そうすると、心も体も大満足になりました。夜は自然と眠くなって、早めにぐっすり寝ることができたのです。
 だから、また朝になるとパッと起きることができました。
 早起き、そして早寝──この「生活のリズム」が、私の元気のみなもとでした。
 私の健康は、朝つくられたのです。
        
 私たちの一日は、みんな平等に24時間あります。それは、朝、太陽が昇り、夜になると沈み、そしてまた朝になって昇るまで、すなわち、私たちの地球が一回りするのに、ちょうど24時間かかるからです。
 私たちの生活は、太陽のリズムに合わせて、朝始まり、夜に終わります。この太陽のリズム(地球の自転)に合わせた生命の「時計」が、私たちの体の中にあります。
 私たちの体の中の「時計」は、朝の太陽の光を浴びることで、正しいリズムが刻まれるようになっているのです。最近の研究では、朝早く起きて、規則正しい生活のリズムができると、頭の働きがよくなることも、わかっています。
 元気な朝から、元気な一日をつくる。そのリズムで一日一日を積み重ねれば、元気な一年、元気な青春、元気な一生につながります。
 若い時、「朝に勝つ」リズムをつくれば、とても「得」なのです。
        
 私の人生の師匠・戸田先生も、朝を大切にされました。早朝に、さえた頭で、鋭く思索されていました。それが、天才的な発想を生み、「20世紀の奇跡」とまで呼ぱれた創価学会の大発展の力となったのです。
 私たちの朝夕の勤行・唱題も、自分で正しい生活のリズムをつくり、健康で幸福な、勝利の人生を歩むための原動力です。
 私の一番の願い──。
 それは、みなさんがいつも元気で笑顔であることです。みなさんが健康で成長してくれることです。
 そのために、朝が勝負です。
 夜は早く寝て、朝は早起きして題目をはつらつと唱え、元気に出発してください。時間がないときは、題目三唱だけでもいいんです。心をこめて朗々と唱えれば、御本尊にきちんと通じます。
 もちろん、朝ごはんをちゃんと食べることも、スポーツなどで体をきたえていくことも大切です。
 私が対談したモンゴルの大作家のツェデブ博士も、「早起きすると新しい発見があり、何かが自分のために開かれ、その発見によって勇気がわいてくる」と言われていました。
 さあ、きょうも元気に、笑顔で、勇気の一歩をふみ出そう!