第3回 歌を歌おう!   (2012.7.1付 少年少女きぼう新聞)

みなさんは、アルメニア共和国という国の名前を聞いたことがありますか?
 一度、世界地図を開いてみてください。
 アジアとヨーロッパを結ぶ場所にある、美しい高原の国です。人びとには、他の国からの侵略など、苦難の歴史を勝ちこえた強さと明るさが光っています。
 先日(6月15日〈現地時間〉)、この国の首都エレバンで、私が撮影した写真の展示会(「自然との対話」写真展)を開いてくださいました。開幕式では、小学生から高校生くらいまでの合唱団「アルメニア・リトル・シンガーズ」が、美しい日本語で歌を歌ってくれたのです。
 その中には、東日本大震災をのりこえてきた東北の方々へのエールをこめ、福島県の民謡「会津磐梯山」もありました。
 深い感動が広がり、大拍手につつまれたそうです。この合唱団のみなさんは、7月から日本全国で公演をおこなう予定です。
 歌には、どんな違いもこえて、人の心をただちに結び合う、ふしぎな力があります。
        ♪ ? ?
 私は歌が大好きです。みなさんのお父さんやお母さんたちと、いっしよに歌ったことも、いっぱいあります。みなさんが喜んでくれるならばと、ピアノを弾いたり、指揮をとったり、少しでも励ましになればと、歌を作ったりもしてきました。
 私の手もとには、少年少女部の合唱団をはじめ、学会の多くの合唱団、また、創価学園創価大学の合唱団から届けられたCDがあって、毎日、聴いています。
 みなさんの歌っている姿を思い浮かべては、「さあ、もう一歩、がんばろう」と、仕事を続けるのです。
 みなさんの元気な歌声が、私の元気のもとなのです。
 少年少女部のみなさんにも、好きな歌があるでしょう。
 少年部歌「Be Brave! 獅子の心で」も、とても、すばらしい歌です。
 
 Be Brave!
  負けない心を 燃やして
  平和の未来《あす》へ 出発だ……
 
 あの東日本大震災のとき、宮城県気仙沼の会館では、大津波に流されず、この少年部歌の歌詞を書いた模造紙が残りました。以来、大人も子どもも、みんなで、この歌を口ずさみながら、勇気をふるいおこして前進してきたのです。
 私も、この歌を聴くたびに、新しい時代の到来を感じます。少年少女部のみなさんが、勇敢に世界で大活躍する姿が目に浮かんできます。そして、希望の未来の大勝利を力強く確信するのです。
        ♪ ? ?
 わが創価学会が、なぜ、多くの難を受けても、これほど発展できたのか。
 その大きな一つの力は、どんな時も、みんなで胸を張って、歌を歌ってきたことです。
 私の恩師・戸田先生も歌がお好きでした。なかでも好きだったのが楠公です。父子の誓いの歌です。
 
 ♪青葉茂れる桜井の
  里のわたりの夕まぐれ……
               (落合直文作詞)
 先生に、「私たちが小学生の時に歌った歌です」と申し上げると、「そうか、そうか」と、ほほえまれていました。
 「早く生い立ち(=早く成長して)」という一節を力をこめて歌うと、先生は深くうなずかれ、私たち弟子が、どんな気持ちで歌っているのか、すべてわかってくださいました。
 歌を歌えば、心がまっすぐ伝わります。
 言葉では、うまく伝えられないことでも、歌は心から心へと響いていきます。
 歌は、心と心を固くつなぎ、いっしよに高めてくれる。強くしてくれるのです。
 私自身、どんなに悪口を言われても、歌を歌って、気持ちをパッと明るくして、前へ進んできました。
 まさに「Be Brave!」です。
 歌で「負けない心」を燃やせるのです。
        ♪ ? ?
 もしかしたら、みなさんの中に自分はオンチ″で、「歌う」のは苦手だと思っている人がいるかもしれません。
 高い声や低い声が出なかったり、音程やリズムがとれなかったりして、なかなか思うように歌えない、歌詞もおぼえられないなど、いろんな理由があるでしょう。
 「人の前で歌うのがはずかしい」という人もいると思います。
 大丈夫。あせる必要はありません。最初から上手に歌える人はいません。私だって、人前で歌うのは、きんちょうします。
 でも、がんばって歌うと、聴いた人は感動してくれます。がんばった心が、聴いた人の心にまっすぐに届くからです。
 だから、まず大きな声で歌うことです。聴こえなければ、心に届かないからです。
 大きな声を出そうと思えば、おなかから声を出すことになります。私たちは、ふだん呼吸をする時、胸の中にある肺を使っています。ところが、プロの歌手などが歌う時は、おもに、おなかの筋肉、つまり腹筋を使って呼吸をしています。これを「腹式呼吸」といいます。
 これができるようになると、呼吸が安定して、のどのきんちょう
もほぐれ、声の響きがよくなります。そうすれば、歌うのが楽しくなります。「腹式呼吸」は、体にいいこともわかっています。大きな声で歌えば、心も体も健康になるのです。
 そして、合唱する時は、周りの声と伴奏を、よく聴くことです。耳は心の窓です。だから、耳はいつも開いているのです。
 心を一つに歌おう──その心が声となって、みんなの心を一つに結びます。
 歌には、心が表れるのです。命が響くのです。だから、どんな歌が歌われているかで、その世の中がわかるし、その時代のようすが決まっていきます。
        ♪ ? ?
 みなさんの中には、少年少女部の合唱団に入っている人もいるでしょう。毎回の練習や出動、本当にご苦労さまです!
 合唱団の結成は、私が提案したものです。今から46年前になりますから、みなさんのお父さんやお母さんも、合唱団に入っていた方がいるでしょう。
 今の「富士少年希望少女合唱団」のもととなった「富士少年合唱団」と「希望少女合唱団」が発足したとき、私は、「21世紀の日本の将来、世界の平和は、皆さんに期待しています。立派に成長してください」とメッセージを贈りました。
 その言葉を今再び、私は、みなさんに託したい。みなさんの明るい歌声は、平和そのものです。戦争を止める力があります。人類の希望なのです。
 私の世界の友人たちが、何よりも感動されるのも、みなさんの歓迎の歌声です。
 苦しい時、つらい時ほど、みなさんには歌があることを思い出してください。そして、思い切り声を出して、歌を歌い、自分を励まし、みんなを励ましながら、また朗らかに出発してほしいのです。
 少年少女部のみなさんの元気な歌声がとどろく、健康で平和な世界──その建設のために、私はこれからも戦っていきます。
 みなさんの歌声が私のエネルギーです。
 少年少女合唱団のスローガンが、私のスローガンです。
 「勝利の未来へ! 響け! 希望のハーモニー」
 君とあなたと私の勝利の未来へ、きょうも元気に歌を歌って前進しよう!
 君とあなたと私の希望のハーモニーで!君とあなたと私の希望のハーモニーで!