第5回 大きな心 大きな笑顔で! (2012.9.1付 少年少女きぼう新聞)

 さあ、新学期の始まりです!
 みんな、元気ですか? まだまだ、暑い
日が続きます。熱中症や交通事故などに気をつけて、はつらつと前進してください。
前へ、前ヘ──これが学会つ子の精神です。
 大空に輝く月が、一日一日、満ちて、満月になっていくように、私たちも生命の勢いを増しながら進んでいくのです。
 これから迎える秋は、月がひときわ、あざやかに見える季節です。とくに「中秋の名月」は、一年でもっとも美しい月とされています。(今年は9月30日)
 この日には、みんなで「お月見」をしようと、ススキと、お団子を用意し、お月さまが出てくるのを今か今かと心待ちにしたものです。
 お月見の習慣は、日本など、いくつかのアジアの国々で、古くから行われてきました。
 私も、少年少女のみなさんや、海外からの留学生の方々などと一緒に、楽しいお月見の思い出をつくってきました。
 月を見ると、もようが見えるでしょう。
 日本人は、満月の日に、その形を見て、月でうさぎが、もちをついていると思い描きました。
 おとなり中国の文化のリーダーで、私の大切な友人の高占祥先生(中華文化促進会主席)は、中国では今でも「月のもとで絆を誓い合ったり、月に向かって詩を詠んだりします」と語ってくれました。
    * * *
 みなさんは、人間が、これまで一番遠くに行ったのは、どこだと思いますか?
 答えは、そう、「月」なのです。地球からおよそ38万キロの距離にあります。
 アメリカの宇宙船アポロ11号が、1969年7月20日(日本時間21日)、月に着陸しました。
 乗っていたのは、宇宙飛行士3人。ついに、人類が初めて月に立った瞬間です。
 最初に降り立った、アームストロング船長は、地球から見守る宇宙センターの仲間たちに、次の言葉を送りました。
 「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ」
 まさに、ここから、宇宙開発の新時代が幕を開け、現在の宇宙ステーションや、惑星の研究につなかっていったのです。
 みなさんが大人になる頃には、飛行機に乗るように、宇宙船で旅をする時代が来ているかもしれません。
 人類の偉大な一歩──この「月面着陸」の一歩は、一人の一歩でしたが、何百、何千人という科学者や技術者の気の遠くなるような努力によって、生み出されました。その人たちを支えた家族、友人、周りの人も数えていったら、きっと何万、何十万、いや何百万という人の数になるでしょう。
 私か対談した大歴史学者のトインビー博士も、これほど大勢の人々が心を一つに協力し合えたということに、月面着陸よりも大きな感動を覚えると言っていました。
 じつは、どんな進歩も、一人の力だけで成し遂げたものはないのです。
 私は、少年少女部のみなさんを、かけがえのない未来からの使者として尊敬しています。一人ももれなく「人類の幸福と進歩」を担う、尊い使命の人だからです。みなさん方がいなければ、人類の未来の扉は開きません。その大切な大切な一人が、君であり、あなたです。一人一人が、なくてはならない宝の人なのです。
    * * *
 大きな大きな期待を込めて、私か待望の「少年少女部」を結成したのは、1965年。人間が月に行く4年前のことです。
 各地で行われた、部の結成式は「秋分の日」に当たる、9月23日。喜び、勇んで集った学会の王子王女たちの瞳は、広宣流布の未来を表すかのように、希望に輝いていました。
 この時、私は、5項目を提案しました。
  ①勤行をしっかりする
  ②勉強をしっかりする
  ③学校にきちんと行く
  ④親に心配をかけない
  ⑤正しく明るい毎日を送る
 それから毎年、少年少女部の友は、学会の庭ですこやかに成長し、希望の未来に向かって羽ばたいていったのです。
 みなさんのお父さん、お母さんはもちろん、おじいさん方、おばあさん方の中にも、わが少年少女部の出身者がおられるでしょう。
 みなさんのことを、大きな、やさしい満月のように見守ってくれる大先輩です。
 心を広々と持てば、天空に浮かぶ、お月さまも、私たちを励ましてくれる明るい友だちであり、たのもしい仲間です。
 私の子どものころは、電灯も今のようにたくさんはありませんでした。家の近くの森ケ崎海岸で、月明かりのもと、読書をしたことも、なつかしく思い出されます。
 ブラジルの天文学者モウラン博士は、
 「夜空を照らす月は、子どもたちの心のなかに輝く希望や夢を象徴しています」と言われていました。
 私は「お月さまの願い」という詩をつくったことがあります。
   静かな 静かな 大空に
   大きな 心を 持ちなさい
   大きな 笑顔を 持ちなさい
   みんなに 語って 満月が
   静かに 静かに 顔出した
 仏法では、「心の財が第一」「心こそ大切」と説かれています。
 同じ生きるならば、大きな心を持って、大きな笑顔を光らせていくほうが楽しい。
 そのことを、お月さまも明るく、やさしく、大らかに語りかけてくれているのです。
    * * *
 心は無限大です。いくらでも広げられる。
 日蓮大聖人は、「太陽も月も、たくさんの星々も、わが心にある」(御書1473ページ、意味)と教えてくださっています。
 みなさん一人一人の心のなかに、お日さまもある。お月さまもある。お星さまもある。その光を、最高に輝かせていく力が、南無妙法蓮華経の題目なのです。
 昨年の東日本大震災や、最近の各地の集中豪雨など、大きな災害で大変な時も、大人の人たちにとって最大の希望となったものがあります。それは、少年少女部のみなさんの笑顔です。
 先の見えない、暗いトンネルに入ったような時であっても、みなさんが元気でいてくれれば、まるで月明かりに照らされたように、人々の心はよみがえるのです。
 みなさんが学び成長している限り、学会は大丈夫です。みなさんの歌声が勇気りんりんと響いているならば、広宣流布の未来は盤石です。ゆえに、一番大切なのが少年少女部なのです。
 21世紀を、みなさんの笑い声が響く平和な世紀に! ──これが、あの日、少年少女部を結成した日から、私の誓いになり、私の人生になりました。
 その通りに、私は、みなさんが世界で活躍できるよう道を開いてきました。
 今、どこの国に行っても、みなさんの仲間がいます。みなさんの舞いゆく姿を、全世界の友が見つめ、見守っています。どうか、大きな大きな心で、自分らしく勇敢に、未来へ偉大な一歩をふみ出してください。
 きょうも私は、みなさんの成長と健康と勝利を祈り、題目で応援しています。
 
 高占祥主席の言葉は『地球を結ぶ文化力』(潮出版社刊)から。トインビー博士は秀村欣二・吉沢五郎編『地球文明への視座』(経済往来社刊)