小説「新・人間革命」 2013年 2月7日 法旗55

組織がなければ、自由でいいように思うこともあるかもしれない。
  しかし、善知識の同志が、互いに激励・触発し合い、切磋琢磨していくなかにこそ、信心の成長があるのだ。
 さらに山本伸一は、清らかな「水の信心」を貫いていくための大切な場として、学会の諸会合があることを訴えた。
 それから、幹部の姿勢について語っていった。
 全参加者に幹部のあるべき姿を明らかにすることによって、愛媛に、模範の組織を築いてほしかったからである。
 「会員の皆さんは、学会の会合に遅れることのないように努力しています。
 しかし、仕事などが多忙なために、どうしても、定刻に間に合わない場合もあります。
 幹部は、そうした方々の事情も考慮せず、厳しく注意したり、感情的に叱ったりするようなことがあってはなりません。
 むしろ、遅れても、会合に駆けつけて来た、その真剣な行為と信心の姿を、最大に讃え、包容していくべきであります」
 さらに伸一は、幹部が注意すべき事柄として、公私の立て分けについて語った。
 「幹部の皆さんは、同志だからといって、後輩の私的なことにまで深入りして、生活上の問題などに関与することのないように留意し、信心の指導に徹していただきたい。
 また、幹部という立場を利用して、後輩を個人的な用事で使うようなことがあってはなりません。
 そういう風潮があれば、本来、伸びるべき大切な人材が不信を起こし、成長の芽をつぶしてしまうことになるからです」
 広布第二章の「支部制」という新しいスタートの時である。
 彼は、皆が未来に向かい、すっきりと、すがすがしい出発ができるように、疑問に思っているであろうことについて、すべて語っておきたかったのである。
 「ところで、皆さんのなかには、地区や支部で協議を行うと、さまざまな意見が出て、対立することがよくあるが、どうすればいいかと思っている方もおられるでしょう」
 皆が大きく頷いた。