小説「新・人間革命」 勇将 15 2013年 3月1日

山本伸一の話は、極めて具体的な、婦人部へのアドバイスとなっていった。
 「実は小さなことですが、本日は電話の使用について、一言申し上げたいと思います。
 電話の使い方、かけ方は、当然、本人の自由でありますが、とかく女性は『長電話』であると言われております。
 ある壮年は、『妻の電話が長くて困っているんです。もう少し話を短く、簡潔にできないものか』と、ぼやいておりました。
 電話で長い話をすれば、通話料も大変でしょうし、家族との団欒の時間を削ることにもなってしまう。
 したがって、連絡・報告は、できるだけ簡潔に、要を得たものにしていく努力、工夫を心がけるようにしてはどうでしょうか。
 つまり『通話革命』されることを提案したいと思いますが、いかがでしょうか」
 賛同の拍手が起こった。
 「ありがとうございます! これで、ご主人も、子どもさんも、『わが家も、やっと幸せになれる』と、喜ぶと思います」
 笑いが広がった。
 「また、勤行についても、一つ提案させていただきます。
 夜半に勤行し、長い唱題をされている皆さんも多々いらっしゃることと思います。
 しかし、長い人生です。健康で、生き生きと広宣流布に生き抜くために、夜は十分な休息を心がけていただきたい。
 その意味から、可能であるならば、夕方のうちに、できるだけ早めに勤行するという習慣を、身につけていくことも必要ではないかと思います。
 そして夜は、一家の和楽のために、心触れ合う和やかな語らいのひと時をもつなど、有意義に過ごしていただきたい」
 諸般の事情で一様にはいかないまでも、できる限り、夜は早く休んでもらうとともに、家族との交流を大切にしてほしかったのだ。
 信心を根本とした健康的な生活のリズムを確立することから、『家庭革命』の大きな前進が始まる。
 そして、和楽と幸福の光彩を放つ家庭は、地域社会を照らす灯台となる。