小説「新・人間革命」 勇将 17 2013年 3月4日
われら創価の団結は、広宣流布という崇高な目的に向かって進もうとする、純粋なる信心の志から生まれる。
同志を、互いに仏・菩薩と見る、真実の尊敬の念から始まる。
強い者に媚びへつらい、弱い人を蔑むような心根や、嫉妬と勝他の炎に胸を焦がす修羅の生命であれば、決して本当に団結することはできない。
また、自己中心的で、傲慢、我欲に心が支配されていれば、結局は、異体同心の結合を破る魔の働きとなってしまう。
団結し、仲が良いという姿に、皆の人格革命があり、人間革命の実証があるのだ。
石を組み合わせた恩師記念館の壁が、城の石垣のようにそびえ、青い瀬戸の海には、幾つもの島が浮かんでいた。美しい、心安らぐ、名画のような風景であった。
伸一は、道場の構内を歩きながら、四国の幹部に語った。
「いいところだね。研修に訪れた人たちは、落ち着いて、ゆっくり研鑽に励み、美しい自然を見て、英気を養うこともできるね。
合戦の舞台となったこの地に来て、今度は生命の尊厳と平和の生命哲理を学んで、皆が各地に帰って行く。
『戦乱の地』が『平和発信の地』になるんだ。見事な蘇生だね。すごいことじゃないか!」
伸一は、研修道場の隣に立つ、マリンパーク魚類博物館にも足を延ばした。近隣の人びととあいさつを交わし、交流をもちたかったのである。彼は、同行の幹部に言った。
「人がいたら、こちらから積極的に語りかけ、友人になっていくことだよ。
人間は、結び合い、助け合うためにいるんだもの。素知らぬ顔をして、言葉も交わさなければ、互いに孤立してしまうし、学会への理解を深めさせていくこともできない。
学会の社会的な使命の一つは、人間が分断された時代にあって、人と人の心を結び合わせることにあると、私は思っているんだよ」