小説「新・人間革命」 勇将 18 2013年 3月5日

 一月二十一日午後、四国研修道場で一月度本部幹部会が盛大に開催された。
 四国で本部幹部会が行われるのは、初めてのこととあって、集って来た人の顔は、皆、晴れやかで、誇らかであった。
 この本部幹部会は、新支部体制の出発であり、席上、支部長・婦人部長、男女部長の代表に辞令が、また支部長の代表に支部証が手渡された。
 支部証は、かつての支部旗の代わりとなるもので、中央に大きく支部名が認められていた。
 続いて、支部婦人部長と支部長の代表が力強く抱負を発表した。
 支部婦人部長の代表は、高知県・新街支部の婦人部長・坂藤久美であった。彼女は「ヤング・ミセス」の県委員長も務めていた。
 「ただ今、広布第二章、初代支部婦人部長の任命を受け、新たな決意に燃えています。
 年若く、力のない私ですが、本日より、草創の学会精神に立ち返り、最も大切な会員の皆さんのため、徹底して尽くしていく決意であります。
 どうか、よろしくお願いします」 山本伸一の声が飛んだ。
 「そうだよ! 頑張ろう!」
 彼女は、伸一の方を見て会釈すると、メガネの縁に手をかけ、はつらつとした声で、話を続けた。
 「土佐の高知は、男の『いごっそう』、女の『はちきん』で有名です。
 『いごっそう』というのは『頑固一徹」のことで、『はちきん』というのは『勝ち気』のことです。
 そのせいか、両者がぶつかり合うと、手が付けられず、家庭不和などで悩む人も少なくありません。
 私たち学会員は、それを広宣流布の個性に転じて、男性は強き信念で創価の旗を掲げ、女性は『男性になど負けるものか!』と、勇んで弘教に駆け巡っています。
 私の父は、先に入会した母が人間革命していく姿を見て、信心をしました。
 つまり『はちきん』が『いごっそう』に勝ったのです。家庭を幸せの花園に変えていくのは、私たち婦人部のパワーです」