小説「新・人間革命」 奮迅 7 2013年5月11日

式次第は、支部長の抱負へと移った。
 「初代方南支部長の任命を受けました高杉光則です!」
 彼は、支部名である「方南」という地域の由来から説き起こしたあと、声を振り絞るようにして訴えた。
 「この方南の地に、いかなる三障四魔が競い起ころうが、私がいる限り、必ずやその障魔を打ち払ってまいります。
 そして、妙法の光り輝く寂光土に転換してまいりますので、どうか皆さんは、安心して学会活動に励んでください!」
 すかさず山本伸一は、自分の太ももの辺りを手でポンと叩き、「そうだ! それが支部長だ! 頑張れ!」と言った。
 支部長は、伸一の方を向いて、会釈すると、話を続けた。
 「私たちの支部には、弁護士、国際的な銀行員、プロゴルファー、そして、クリーニング屋さん、豆腐屋さん、ラーメン屋さんなどがおり、まさに多士済々であります」
 ここでまた、「すごいぞ!」という伸一の声がかかった。支部長は、「はい!」と答え、さらに、原稿を読み進めていった。
 「現在、わが支部は約五百世帯の大家族ですが、私は、全家庭の皆さんと対話してきたなかで、次のモットーを掲げて進んでまいりたいと思います。
 それは、『団結』『折伏』『人材』の三モットーであります。
 各部が互いに、よく理解し合い、特色をいかんなく発揮し、弘教拡大のために団結力を発揮し、杉並の、いや全国の広宣流布の先駆となってまいります。
 また、力ある人材の育成、輩出に、全力をあげて取り組んでまいります。
 さあ、方南支部の皆さん! 『日本一仲の良い方南創価家族』を合言葉に、歓喜の大前進をしてまいろうではありませんか!」
 伸一は、その言葉通りに、仲良く前進してほしかった。
 仲の良い組織には、団結があり、励ましがある。笑いがあり、希望がある。そして、勝利がある。