小説「新・人間革命」 奮迅 6 2013年5月10日

支部証」授与のあと、副会長の山道尚弥は、「この方南支部結成大会の模様は、『聖教新聞』にも大きく報道されるのではないかと思いますので、全国の同志のために、どんな
支部なのか、説明しておきたい」と前置きして、同支部の概要を語り始めた。
 参加者は、その言葉に、広布第二章の先駆けの支部であるとの、誇りを噛み締めた。
 山道は、方南支部の場所、土地柄、環境、支部の幹部などを紹介していった。
 次いで、支部歌の発表となった。歌うのは「方南桜花合唱団」である。
 この日が初登場となる、女子部、壮年部、男子部、学生部によって構成された混声合唱団であった。
   
 歓喜の風に 身も軽く 悩める友の 道開き……
   
 支部歌には、一人ひとりの友と同苦し、励まし、地域に功徳の花を咲かせようとする、『方南家族』の気概が満ちあふれていた。
 また、明るい笑顔が広がる座談会の光景も、生き生きと歌われていた。
 熱唱は、支部結成の皆の喜びを増幅させていった。だが、合唱は二分足らずで終わってしまった。二番までしかないからだ。
 山本伸一は、『みんな忙しいなか、支部歌作りにも挑戦したが、三番まで歌詞を書き上げる時間がなかったのであろう』と思った。
 教学試験の勉強や支部結成大会の結集、さまざまな準備もある。
 そのなかで支部歌作りに励んだ人たちの苦心が、伸一には手に取るようにわかった。
先駆の誇りに燃え、困難をはね返しての挑戦であったにちがいない。
 彼は、合唱が終わるや、立ち上がって拍手を送りながら言った。
 「すばらしい! 簡潔で、すっきりしていていいね。短いから覚えやすいし、歌いやすい。まさに、新時代の先駆の歌です!」
 人の苦労がわかる。人の努力がわかる──それこそが、リーダーとしての、最第一の要件といえよう。