小説「新・人間革命」 奮迅 5 2013年5月9日

方南支部結成大会の参加者は、午後五時半前から、続々と会場の杉並文化会館に集って来た。
 早くも六時には、会場の大広間は人で埋まった。どの人も頬を紅潮させ、瞳を輝かせ、晴れやかな表情であった。
 六時三十分、司会者が元気な声で、式次第、注意事項を発表した。
 その直後、「こんばんは!」という声がして、山本伸一が姿を現した。「ワァー」という歓声とともに、大拍手が湧き起こった。
 「ただ今より、方南支部結成大会を開会いたします!」
 司会の青年が、叫ぶように宣言した。
 伸一の導師で勤行が始まった。
 彼は、懸命に祈った。
 ──方南支部の全同志が功徳と福運に包まれゆくように。地域が繁栄し、大きく発展していくように。そして、全国の各支部が晴れやかな大前進を開始していけるように……。
 勤行が終わると、女子部の代表が、深い感謝の思いを込めて、伸一に花束を贈呈した。
 「ありがとう! 皆様の真心を受け止めました。おめでとう!」
 杉並長の三枝木健次が、祝福のあいさつに立った。感激のためか、声が上ずっていた。
 「山本先生をお迎えし、全国に先駆けて開かれた、希望輝く支部の結成大会、まことにおめでとうございます!
 ここに方南総ブロックは、方南支部として新出発いたしました。
 この歴史的な意義ある結成大会に集い合えた私どもは、満々たる決意と草創の息吹をもって、全国の模範となる支部を築いてまいろうではありませんか!」
 続いて、副会長の山道尚弥から、方南支部の「支部証」が、支部長に手渡された。大拍手が轟いた。
 伸一は、語りかけた。
 「頼んだよ。『自分は、地域の人びとの幸福責任者だ! 日本一の支部をつくろう!』と、深く心に誓うことが大事なんです」
 ──「誓いとは、前進への秘訣である」(注)とは、マハトマ・ガンジーの珠玉の言葉だ。