小説「新・人間革命」 奮迅 11 2013年5月16日
山本伸一は、この方南支部結成大会の会場から、全国の支部長、支部婦人部長、そして全同志に訴える思いで話を続けた。
「次に、功徳を受ける信心について話をしておきます。
一言すれば、真面目な信心の人には、必ず功徳があります。
一方、外面は、一生懸命に信心に励んでいるように見せながら、実際には怠惰で、真剣に仏道修行に励もうとしない人には、功徳はありません。
他人の目はごまかせたとしても、仏法の因果の理法は、決してごまかすことはできないからです。
また、恐るべきは、すぐに人を批判したり、ねたんだりする習性です。
それは、自分がこつこつと積み上げてきた福運を消すだけでなく、心を暗くし、生命を重くします。さらには、広宣流布の団結を破壊することになっていく。
つまり、自分で自分を、不幸の淵へと追い込んでいってしまう。
反対に、人びとに対して、善意と賞讃と応援の姿勢で臨み、仏道修行に励んでいくならば、感激があり、感謝があり、人生すべてを楽しいものと実感していくことができる。
実は、そこに人間革命の姿があり、幸福の実像もあるんです。
立場や役職のいかんが、幸・不幸を決するのではありません。
人生の勝負は、一年や二年では決まらないものです。
一生です。したがって、決して背伸びすることもないし、見栄を張る必要もありません。
平凡でいいんです。どこまでも自分らしく、?折伏精神?をたぎらせ、地道に、淡々と、わが使命を果たし、所願満足の境涯を築き上げていくことです。
それが最大の仏道修行と思ってください。人を動かそうなどと考えるのではなく、まず自分が動くことです」
仏法のため、同志のために、汗を流し、時には共に涙して語り合っていくなかにこそ、最高の歓喜と充実と生命の躍動がある。人生の最大の生きがいと幸福がある。