小説「新・人間革命」 奮迅 12 2013年5月17日

支部長、支部婦人部長の在り方について諄々と語る山本伸一の指導を聴きながら、方南支部のリーダーたちは思った。
 『私たちは、全国の支部長、支部婦人部長を代表して、山本会長から直接、指導を受けている! こんなに栄誉なことはない!』
 伸一は、支部長を見ながら、笑顔を浮かべて語った。
 「支部の中心者だからといって、偉く見せようなどと考える必要はありません。ありのままでいいんです。
 支部長、支部婦人部長は、全支部員の良き兄であり、良き姉になることです。また、県・区長や県・区婦人部長は、良き長兄、長女であってください。
 仏法では、和合僧ということが説かれています。これは、出家して仏道修行に励む人びとの集まりのことですが、現代的に言えば、創価家族、仏法兄弟です。
 私どもは、御本尊のもと、信心の血脈に結ばれた久遠の兄弟です。
 支部長、支部婦人部長は、その大事な仏子である弟、妹の面倒をみて、立派な広宣流布の人材に育て上げていってください。
 そのなかに、自身の成長も、人間革命も、幸福もあると確信して、師子奮迅の戦いを開始しようではありませんか!
 最後に、皆さんのますますのご多幸を心よりお祈り申し上げ、私の祝福のあいさつとさせていただきます」
 会場は、喜びと決意の大拍手に包まれた。
 伸一は、自分に贈られた花束を持って、参加者のなかに入っていった。歓声が起こり、皆が立ち上がって彼を迎えた。
 伸一は、「ありがとう!」と言いながら、会場を進み、メガネをかけた和服姿の小柄な老婦人に声をかけた。
 「おばあちゃん! よくいらっしゃいました。体を大事にして長生きしてください。ご健康、ご長寿を祈っております」
 伸一は、こう言って、手にしていた花束を老婦人に手渡した。また、歓声が広がった。
 一切の力を振り絞って、一人でも多くの人を励まそう──それがリーダーの心だ。