小説「新・人間革命」 奮迅 27 2013年6月4日
初の「足立会」の集いには、初代足立支部長・婦人部長であった藤川秀吉・多恵夫妻の元気な姿もあった。
席上、あいさつした山本伸一は、参加者に親しみのこもった視線を注ぎながら語った。
「皆さんは、戸田先生の薫陶を受けて育った『学会の宝』の方々です。
その皆さんにお願いしたいことは、戸田先生に自分が育まれたように、後に続く人材をつくっていただきたいということです。
人材は、一朝一夕には育ちません。多くの時間と労力を必要とします。
しかし、人を育てる以外に、広宣流布の永遠の未来を開く道はないし、それに勝る聖業もありません。
皆さんが人材育成の範を示して、支部幹部や大ブロック幹部の方々に、その方法、在り方を教えていっていただきたい。
折伏の仕方も、指導の仕方も、先輩幹部と共に戦うなかで、見よう見まねで覚え、体得していくものです。
また、そうした活動のなかに、信心の触発もあるんです。
この育成の伝統がなくなってしまえば、本当の人材育成の流れは途絶えていきます。
弘教にせよ、信心の指導にせよ、その方法を、単に頭で覚え、暗記すればできるというものではありません。
実際の活動を通して学び、生命で覚え込んでいくものなんです。
先輩の皆さんは、常に後輩と共に動き、その敢闘の精神と実践とを、伝え抜いていっていただきたいのであります」
ここで伸一は、戸田城聖が第二代会長に就任した折に、共に立ち上がることができなかった戦前からの会員たちが、後年、「遅参其の意を得ず」との思いを深くし、後悔していた話に触れた。
今、学会は、広布第二章の『支部制』が発足し、未来万年の流れを開く『時』を迎えました。
今こそ総立ちすべき『朝』なんです」