小説「新・人間革命」 奮迅 44 2013年6月25日

山本伸一は、「支部制」を広宣流布の新しい跳躍台にしていくため、すべての人たちが支部建設の大きな力となるよう、あらゆる手を打っていった。
 中心となる支部長・婦人部長をはじめ、支部の守り手となる指導部などの草創の幹部、支部をまとめる本部長、さらに、活動の推進力となる男女青年部の部長と、間断なく激励・指導の手を差し伸べていった。
 また、各支部が文化会館などを使って盛大に支部結成大会を行い、支部活動のスタートを切るようにするなど、さまざまな観点からアドバイスを重ね、自ら先頭に立って、行動の範を示してきた。
 「支部制」が軌道に乗り始めた今、伸一が次に力を注ごうとしていたのが、最前線組織であるブロックの充実であった。
 支部といっても、その基盤はブロックである。
 支部の強化とは、各大ブロックの強化であり、さらに言えば、各ブロックの強化にほかならないからだ。
 大創価学会といっても、その実相は、ブロックにこそある。
 わがブロックで、『何人の人が歓喜に燃えて活動に取り組んでいるのか』『何人の人が功徳の体験をもち、信心への絶対の確信をもっているのか』『何人の人が喜々として座談会に集って来るのか』──それがそのまま、創価学会の縮図となる。
 「九層の台も累土より起こり、千里の行も足下より始まる」(注)とは、『老子』の箴言である。
 ブロックという足元の組織の強化がなされなければ、支部をはじめ、学会の組織は、砂上の楼閣となってしまう。
 最前線組織であるブロックを堅固にしてこそ、広宣流布は盤石なものとなり、大創価学会の飛躍があるのだ。
 そのためには、全幹部が徹してブロックに入り、一人ひとりと対話し、人材を育むことだ。
 そして、ブロック長、ブロック担当員(現在の白ゆり長)を中心に、皆が和気あいあいと、一人ももれなく、喜び勇んで信心に励める『人間共和』の連帯を築き上げることだ。