【第17回】 生命の宝を受けつごう! (2013.9.1)

この8月、私のところには、毎日毎日、日本全国そして全世界から、少年少女部の元気な活躍の様子が届きました。
 「創価ファミリー大会」でも、がんばってくれたね。
 少年少女部のみなさんが主役となって、「勤行の導師」を見事につとめてくれたり、「司会」や「体験発表」を堂々と行ってくれたり、「合唱」や「クイズ」「ゲーム」などを、リードしてくれたりしたことも、うれしく聞いています。
 本当にありがとう!
 かげで、青年部のお兄さん、お姉さん、また、壮年部・婦人部の方々が、一生けんめいに準備し、支えてくださったことも、私は、心から感謝しています。
    
 ファミリー大会に、おじいさんや、おばあさんと、いっしょに参加した人もいるでしょう。おじいさん、おばあさん方は、はつらつと伸びゆくみなさんの姿を、とても喜んで見守っておられたことと思います。
 その気持ちが、私もよくわかります。
 おじいさん、おばあさん方は勇気をもって、正しい信心をつらぬいてこられました。
 相手の幸せを真剣に祈って行動しているのに、なかなか理解されなかったこともある。それでも、決してあきらめなかった。
 どんなに自分が大変なときでも、悩んでいる友のために祈り、つくしてきました。世の中のため、そして、世界の平和と人類の幸福を築く広宣流布のために、私といっしょに、がんばりぬいてこられました。
 その信念のバトンが、みなさんのお父さん、お母さん方に受けつがれ、さらに今、みんなが受けついでくれていることが、私たちは、うれしくてならないのです。
    
 「祖父母」から「父母」へ、そして「子ども」へという3つの世代のつながりを、私が対談したイギリスの大歴史学者のトインビー博士は、とても大事にしていました。
 世界中の歴史を研究された博士は、私たちの社会などが、よりよく変わっていくためには、短い時間では足りない。少なくとも、3世代くらいの長い時間の努力が必要であると言われていたのです。
 たしかに、国も、団体も、初代が道なき道を開き、2代目が基礎をがっちり固め、さらに3代目が努力して発展させていくことで、大きく栄えていきます。
 創価学会は、初代会長の牧口常三郎先生と第2代会長の戸田城聖先生が、いかなる迫害にも負けず、平和と正義の戦いに命をかけて、土台をつくってくださいました。
 お二人の心を受けつぎ、私は第3代の会長となり、世界に仏法を広げてきました。
 家族でいえば、おじいさん、おばあさんから、少年少女部のみなさんが3代目です。3代目のみんなが立派に育っていけば、ご一家は未来へ、いよいよ栄え続けていくことができます。
 それこそが、これまで苦労に苦労をかさねてこられた、おじいさん、おばあさんの何よりの勝利なのです。
    
 9月には、家族や社会に長年つくしてきた方々を敬愛し、長寿を祝う「敬老の日」があります(今年は9月16日)。
 もともと、この日は、ある村の村長さんが、お年寄りの経験と知恵を大事にして村づくりをしようとしたことが、きっかけといいます。
 おじいさんやおばあさんにとって、孫ほど、かわいいものはありません。いつも、みなさんの成長を願ってくれています。
 その真心には真心で、「ありがとう!」と感謝を伝えよう。
 そして、みなさんの明るい笑顔を見せたり、元気な声を電話で聞かせたりしてあげてください。
 人間は、ものごとを覚える力などは、若いときのほうが強い。しかし、困ったときに、どうするかなどを判断する力は、年をかさねたほうが、ゆたかになっていくことが、研究でわかっています。
 人類は、3万年くらい前から長生きになり、祖父母と孫が、いっしよに暮らせるようになりました。それから、いろんな知恵や技術を伝えられるようになって、大きく進化したともいわれています。
 おじいさん、おばあさんから、話を聞き、いろいろ教えてもらえることは、とてもすごいことなのです。
    
 仏法では、高齢の方を大切にすることが、国の栄える根本であると教えています。
 学会は、70歳以上のメンバーのグループを「多宝会」(東京は「宝寿会」、関西は「錦宝会」)と呼んでいます。
 「多宝」とは、法華経に出てくる「多宝如来」という仏の名前です。
 妙法の偉大さを証明するために現れ、その名前の通り、多くの宝をもって光り輝く仏です。
 まさに、多宝会の方々は、信心ひとすじにがんばって、自分の人生を通して仏法の偉大さを証明してきた尊い方々です。それこそ、多くの宝をもっておられます。
 どんな宝だと思いますか?
 それは「生命の宝」「心の宝」です!
 多宝会の先輩方は、戦争中や、そのあとの大変な時代を生きてこられました。
 生活が苦しい。病気が治らない。家の中にケンカがたえない。仕事がうまくいかない……たくさんの悩みを、自分だけでなく、人の分まで引き受けて、題目をいっぱい唱え、立ち向かってきました。
 「何があっても絶対に乗り越えられる」「どんな人も必ず幸せになれる」と、みなを勇気づけ、希望を送ってきたのです。
 人の何倍も忙しくて、苦労も多かった。でも、その分、福運という「生命の宝」「心の宝」を山のように積み上げてきたのです。
 この宝は、一家に信念のバトンを受けつぐ人がいれば、どんどん増えていきます。みなさんも題目を唱えて、「がんばろう」と心を決めれば、そのまま宝を、すべて受け取ることができる。そして、自分の努力で、いくらでも増やしていけるのです。
 この宝があれば、どんなことがあっても負けません。「生命の宝」を「生命の力」として、みなさんは、自分の夢を大きく広げ、実現していけるのです。
 ある小学2年生の女の子は、戦争で片腕をなくした祖母が、平和を願い、広宣流布のために行動し続けてきた体験を聞きました。そして、「おばあちゃんから、大切なことを教えてもらった私だから、だれよりも、平和を守れる人になりたい」と決意したのです。
 おばあちゃんは、きっと、すべての苦労が晴れる思いがしたことでしょう。
    
 みなさんは、お父さん、お母さんがいて、この世に生まれてきました。そのお父さん、お母さんが生まれてきたのは、おじいさん、おばあさんがいたからです。
 こう考えていくと、みなさんが生まれてくるまで、かぎりないいのちのリレーが、ずっと続いてきたことがわかります。
 このうちのだれか一人でもいなければ、みなさんは、この世に生まれていません。
 ご一家がそうであるように、人類は過去何百万年も、いのちのリレーを続けてきました。そして、未来に向かって、これからもずっと続けていきます。
 かけがえのないいのちのリレーの中で、私といつしょに、今このときを走り、そして未来にバトンをたくす栄光のランナーが、君であり、あなたです。
 その君がいて、あなたがいて、ご一家も、学会も、人類の歴史も、永遠に続いていく。大切な大切な使命あるみなさん方に、私は最敬礼して、題目を送ります。
 さあ、新学期の始まりです。
 いよいよ、新しい決意で、新しい前進を開始してください!