【第18回】 かがやけ! 希望の一番星 (2013.10.1)

 秋は空気が澄み、星の光もさわやかです。
 きょうは、いっしょに星空を見つめ、天体観測をするような思いで、さらにまた、ともに宇宙船に乗りこんで冒険の旅に出るような思いで、語らいを進めましょう!
    
 みなさんは、流れ星を見たことがありますか?
 もう20年前の夏になりますが、私は、日本列島のまん中に位置する群馬県で、青年たちと、たくさんの流れ星を見た思い出があります。「ペルセウス座流星群」です。
 その時、よんだ和歌があります。
 大宇宙
  我らを祝して
    流星群
  花火の如く
   宝石まきたり
 宇宙は、限りなく広くて大きい。
 星にも、いろいろな星があります。丸い星だけでなく、まるでジャガイモのような形をしている星もある。
 かがやく星の数は、私たちの太陽系のある銀河だけでも、2000億個とも言われます。明るさもさまざまです。「オリオン座」のリゲルという星は、じっさいは太陽の3万7000個分もの大変な明るさです。でも、はるか遠くにあるから、夜空では小さな点のように見えるのです。
 そうした星たちも、大宇宙の仲間です。そう思って見つめれば、星たちも、みんなを見守り、はげましの光を届けてくれる心の友だちとなるにちがいありません。
    
 星空は、夢が広がるロマンの世界です。
 「しし座」「おとめ座」「さそり座」などの星座は、みなさんにもなじみがあるでしょう。「かみのけ座」「じょうぎ座」「ぼうえんきょう座」といったユニークな名前の星座もあり、全部で88個になります。
 星座が、どのようにして誕生したか?
 一説によれば、約5000年前、羊飼いが羊の番をしながら夜空を見上げ、星と星を結んでいったことが、「星座」のはじまりだと言われています。
 はるかな、あこがれであった宇宙を目指し、人類がはじめて人工衛星の打ち上げに成功したのは、1957年の10月4日のことです。
 宇宙時代の幕開けとなった、この日を記念して、毎年10月4日からの1週間は「世界宇宙週間」となっています。
 日本の探査機「はやぶさ」の大活躍を知っている人もいるでしょう。
 燃料もれや、エンジン故障など、次々に大きなトラブルにあいながらも、7年間、60億キロメートルの宇宙空間の旅を奇跡的に乗り越えました。そして、世界で、はじめて小惑星のかけらを持ち帰ったのです。
 新しく東京ではじまった、創価学会の「わたしと宇宙展」では、この「はやぶさ」の模型や「月の石」を見ることができます。12月の福島での展示をはじめ、これから各地を回る予定です。
 今年は、話題になっている「すい星」もあります。11月中旬から12月にかけて太陽に接近する「アイソンすい星」です。
 学会の創立記念日の11月18日ごろには、条件がよければ、夜明け前の南東の空で、おとめ座の1等星「スピカ」と、この「アイソンすい星」を、いっしよに双眼鏡で見ることができると期待されています。
 11月には、宇宙飛行士の若田光一さんが国際宇宙ステーションへ飛び立ち、半年間、宇宙に滞在し、船長を務める予定です。
 みなさんが生きる、これからの未来は、もっともつと宇宙が身近になるでしょう。
    
 私は、これまで、多くの天文学者や宇宙飛行士と友情を結んできました。
 その一人に、ロシアの宇宙飛行士・セレブロフ博士がいます。4度の宇宙飛行、10回もの船外活動を命がけでおこなってきました。
 博士が宇宙飛行士になったきっかけは、みなさんと同じ小学生の時です。
 スケートの練習を終えて、コーチのニコライ先生と家に向かって歩いていました。すると、先生が突然、夜空を指さしました。セレブロフ少年が見上げると、星のようなものがすごいスピードで移動していたのです。おどろいていると、先生は「あれが人工衛星だよ」と教えてくれたのです。
 セレブロフ少年は、人間によってつくられた地球製の星が、無数の星々の中を泳ぐ姿を思いうかべ、その日から、毎日のように夜空を見つめるようになりました。子どものころの感動は、時がたつほど夢となってふくらみ、大きな力になるものです。
 私が創立した創価学園では、「天文教育」に力を入れています。特に、関西校では、国際宇宙ステーションのカメラから地球を観測する「アースカム」(アメリカ航空宇宙局NASAの教育プログラム)などにも参加しています。
 まさしく、宇宙からの目で、私たちのふるさと「地球」を見つめる取り組みです。
 じつは、この宇宙が何からできているかということも、全体のわずか4パーセントまでしか、わかっていないといいます。
 宇宙には、まだまだ「なぞ」がいっぱいあるのです。
 これから、そうした未知の世界を解き明かしていくのは、みなさんたちの誇り高い使命です。
 みなさんの毎日の勉強も、英知のつばさを広げて、新たな発見にチャレンジする冒険の旅なのです。
    
 みなさんの中には、宇宙飛行士になりたい人もいるでしょう。
 セレブロフ博士は、宇宙飛行士に大切なこととして、二つ強調されていました。
 一つは「人間としての品性」。つまり、ずるいことなどしない、立派な人格です。
 もう一つは「仲間を尊敬できる心」。友を大切に、チームワークをつくれる力です。
 博士は、実際に宇宙に行かなくても、「地球の人類のために尊敬される生き方をする人」が宇宙市民だと言われていました。だから、人のため、社会のため、尊い学会活動にはげんでいる、みなさんのお父さんやお母さんは、模範の宇宙市民なのです。
 「わたしと宇宙展」では、人は星のかけらからできているというパネルが展示されます。私たちの体のもとになり、命をささえている酸素や水素、炭素、さらには金や銀などの「元素」は、星から生み出されてきたものなのです。
 仏法では、人間の体の働きを、両目は「太陽と月」、髪の毛は「星」、血管は「川」、骨は「鉱物」、皮ふや肉は「大地」、体の毛は「森林」、息は「風」などと表現しています。人間の生命それ自体が、一つの宇宙であると説いているのです。
 みなさんは全宇宙の中で、ただ一人しかいない「かけがえのない存在」です。この自らの尊さを自覚し、無限の力を引き出すために仏法があります。
 「南無妙法蓮華経」の題目は、大宇宙の究極のリズムです。
 地球がたゆまず回転しているのも、太陽が地球上の生命を照らし育んでいるのも、このリズムにのっとっています。題目を唱えることは、この大宇宙の力を、自分自身の宇宙にみなぎらせていくことなのです。
 無数の星たちの光も、かがやく銀河も、全部、わが生命の中にある。どんな大変な時にも、題目を唱えれば、自分を最高に、かがやかせることができるのです。
     宇宙の広がりは無限大です。それと同じように、みなさんの心も無限大です。だから、いくらでも大きく強く成長できる。
 つらいことや、いやなことがあったら、星空を見上げてみよう。深いやみの中でも、星は明るくかがやいています。大きな宇宙を思えば、自分の悩みも小さく見えてきます。
 そして、宇宙から見れば、地球も一つの家のようなものです。国境線などない。みんな同じ「地球民族」として、仲良く平和に生きていけるはずです。
 今、西の夕焼け空には、「よいの明星」と呼ばれる金星が見えます。一番はじめに明るくかがやき出すので「一番星」とも言われます。
 みなさんには、自分にしかできない偉大な使命がある。必ず、何かの「一番星」になる使命をもっている。読書の一番星、親孝行の一番星、スポーツの一番星……。何でもいい。何かで一番になっていこう!