激闘 4 2014年3月25日

 
山本伸一は、グラウンドを回りながら、各方面の音楽隊長と握手を交わし、中等部の隊員を見つけると、歩み寄っては、両手を広げて、抱え込みながら語りかけた。
「すばらしい演技でした。勉強もしっかり頑張って!」
会場に設置されたバックパネルの足場から、顔をのぞかせている作業服姿の設営メンバーがいた。伸一は、大きく手を振り、頭を下げた。
ヘルメットの下の顔がほころんだ。
伸一は、額にも、首筋にも、汗を滲ませながら、何人もの青年たちと握手を交わしていった。
全力で労をねぎらう彼を見つめるメンバーの目には、涙が光っていた。
このあと伸一は、創価大学の会議室で、テレビ局や新聞各社の記者と懇談会をもった。
記者の一人が質問した。
「いつ見ても、学会の青年部は躍動しているという印象があります。また、その青年たちと山本会長とは、深い信頼で結ばれていることを実感します。
会長は、どのようにして、青年たちとの信頼関係を培ってこられたんでしょうか」
伸一は、静かに頷くと、語り始めた。
「ありのままに、お答えします。
私は、今日も、「ひたすら諸君の成長を祈り、待っている」と言いました。
また、「一切をバトンタッチしたい」とも語りました。
青年たちに対する、その私の気持ちに、嘘がないということなんです。
私は、青年たちに、『自分は踏み台である。諸君のためには、どんなことでもします』とも言ってきました。
事実、青年部を百パーセント信頼し、なんでもする覚悟です。
また、青年に限らず、皆が喜んでくれるならと、たとえば、去年一年間で、色紙などに
一万七百八十四枚の揮毫をしました。つまり、私は、本気なんです。
だから、その言葉が皆の胸に響くんです。
だから、心を開き、私を信頼してくれるんです」
誠実という豊かな人間性の大地にこそ、信頼の花園は広がるのだ。