激闘 5 2014年3月26日

山本伸一は、力を込めて語っていった。
「また、私が創立した創価学園の生徒について、『私の命よりも大事である』と述べました。
私は、自分をなげうっていくつもりで、こう訴えたんです。
ありのままの、偽らざる気持ちを、そのままぶつけているんです。
だから、生徒たちも、若い教員たちも、その心に応えていこうと、思ってくれるのではないでしょうか。そして、そこから、本当の信頼が生まれていくのではないでしょうか。
口先だけの決意や、美辞麗句は、人間の魂には響きません。
また、最初は、その言葉を信じてくれても、嘘があれば、やがて誰も信じなくなります。
つまり、大事なことは、自分の真情を正直にぶつけ、約束したことは、どんなに小さなことでも、徹底して守っていくことです。
これが、指導者の最も大切な要件であると、私は思っております。
不思議なもので、年を重ねるにつれて、私のなかで、青年への期待度は、ますます高くなってきているんです。
私の恩師・戸田先生も、きっと、そうだったと思います。今にな
って、そのお気持ちがよくわかります。
戸田先生は、晩年、『頼むよ。頼むよ』とよく口にされた。
それは、私をはじめ、青年たちが、?必ず自分の期待に応えてくれるだろう。
いや、期待以上の仕事をしてくれるにちがいない?との、確信に裏づけられた言葉であったと思います。
私の最高の宝は何か──それは、後継の青年たちです。
私の最高の誇りは何か──それは、立派に青年たちが育っていることです」
別の記者が尋ねた。
「山本先生は、今後は、いかなる事業に力を注がれていくおつもりですか」
伸一は、即座に答えた。
「これまでも申し上げてきましたが、教育です。
特に個人的には、『教育』のなかでも、『教える』ことより、『育てる』ことに、力を注いでいきたいと考えています」