激闘39  2014年5月6日

 
山本伸一は、利安真吉の話に、頷いた。
「そうですか。ともかく、何があったとしても、決して臆することなく、勇気をもって仏法を語り抜いていくことが、地域広布の根本です。
その精神を忘れて、策や方法ばかり考えても、何一つ実ることはありません」
「はい。おっしゃる通りだと思います。
そのうえで奄美の同志は、学会として打ち出した運動は、中途半端に終わらせず、徹底して行ってきました。
たとえば、映写運動をするとなれば、町中、村中の人に、その映画を見せようと、フィルムが擦り切れるぐらいまで、根気強く実施してきたんです。
鹿児島県でも、都市部ですと、一つの運動を打ち出して五、六カ月もすると、いつの間にか立ち消えてしまうことがよくあります。
しかし、奄美は、一つ一つの運動に全力を注いで、地道に成し遂げてきました。
その積み重ねが、今日、実を結んだんだと思います」
「鋭い視点です。一つ一つのテーマに対して、どれだけ真剣に取り組んでいくか──ここにすべてが凝縮されています。
それを、いい加減に終わらせ、前に進んでいくということは、しっかりと鉄筋を組まずに、ビルを建てようとしているようなものです。
ほかには、どんなことが奄美の発展の力になってきたと思いますか」
利安は、少し考えて、言葉をついだ。
「学会員一人ひとりが、大きく地域に貢献してきたことではないでしょうか。
地域のために何もしなければ、口でどんなに立派なことを言っても、誰も信用してくれません。
そこで学会員は、先生のご指導の通りに、積極的に地域の人びとのために身を粉にして働いてきました。
地域広布が進んでいる支部などに行くと、ほとんどの方が、集落の区長や、農業委員、民生委員、PTA、消防団老人クラブ、婦人会などの役員として活躍しております」
伸一は、微笑を浮かべて言った。
「『仏法即社会』です。これからは、『広宣流布即地域貢献』と考えるべきでしょう」