激闘55  2014年5月26日

山本伸一は、個人指導についての、自分の実感を語っていった。
「私が多くの幹部を見てきて感じることは、個人指導を徹底してやり抜いてきた方は、退転していないということなんです。
個人指導は、地味で目立たない永続的な忍耐の労作業であり、それを実践していくなかで、本当の信心の深化が図れるからです。
さらに、個人指導を重ねていくなかで、自分自身を見つめ、指導することができるようになるんです。だから退転しないんです。
もちろん折伏も大事です。ただし、折伏しただけで、入会後の指導をしっかりしていかないと、一時的な戦いに終わってしまう面があります。
また、折伏の成果は、すぐに目に見えるかたちで表れるので、周囲の同志から賞讃もされます。
それによって慢心になり、信心が崩れていってしまった人もいました。
したがって、折伏とともに、個人指導に全力を傾けていくことが、自分の信心を鍛え、境涯を高めていく必須条件なんです。
折伏、個人指導は、対話をもって行う精神の開拓作業です。開拓には、困難に挑む勇気と忍耐が必要です。
しかし、その労作業が、人びとの生命を耕し、幸福という実りをもたらすんです。
どうか皆さんは、誠実に対話を重ね、友の生命開拓の鍬を振るい続けていっ
てください。
個人指導は、組織に温かい人間の血を通わせ、組織を強化していく道でもあるんです」
皆、決意に燃えた目で、伸一を見ていた。 彼は、笑みを浮かべ、言葉をついだ。
創価学会の世界では、個人指導は、当然のことのように、日常的に行われています。
それは、苦悩を克服するための励ましのネットワークであり、現代社会にあって分断されてきた、人間と人間の絆の再生作業でもあるんです。
この私どもの行動のなかに、学会のみならず、社会の重要な無形の財産があると確信しております。
やがて、その事実に、社会が、世界が、刮目する時が、きっと、来るでしょう」