求道32  2014年7月21日

走る。力の限り走る。
愛する友のために、命の限り、ひた走る。
五月二十九日午後、山本伸一の活動の舞台は、宮城県から福島県へと移った。
福島訪問は、前年の三月以来、一年二カ月ぶりである。
福島では、県幹部会などの大きな会合はもたず、中核となる幹部とゆっくり懇談して、指導・激励し、未来の流れをつくることに主眼を置いていた。
午後四時二十分、郡山市の福島文化会館(現在の郡山中央文化会館)に到着した彼は、開館一周年を記念する意義を込めて行われた、本部長ら代表幹部との懇親会に出席した。
共に夕食のカレーライスを食べながらの語らいであった。
この一年、福島の前進は目覚ましいものがあった。
若い県長の榛葉則男を皆が団結してもり立て、県総会をはじめ、各種行事もすべて大成功を収めてきた。その一年の歩みは、二十枚の写真パネルにまとめられ、二階ロビーに展示されていた。
伸一は、懇親会に参加する前、この展示を観賞しながら、榛葉に言った。
「福島は、すばらしい足跡を残したね。会う人、会う人、皆、表情が明るく、喜びにあふれている。これが大事なんです。
信心の世界の勝利というのは、ひとことで言えば、皆が歓喜をもって信心に励んでいるかどうかです。
弘教の成果や座談会参加者数などのデータも、組織の実態を見ていくうえでは、必要です。
活動の計画を練っていくうえでも、それは貴重な資料となります。
しかし、それだけでは、とらえきれないのが、信心の世界です。
会員の皆さんとお会いした時に、喜々として信心に励んでいるのか、なんとなく受け身になって義務感で行動しているのかを、よく見極めていくことです。そこに、組織の本当の実態があるからです。
皆さんに歓喜と確信をもたらすために、学会の組織がある。また、そのために幹部がいるんです」