求道36  2014年7月25日

山本伸一の根本スエへの激励は続いた。
「信心して亡くなった方は、すぐに、この世に人間として生まれて、広宣流布の使命に生きると、日蓮大聖人は教
えられているんです。
既に、ご主人は、身近なところに誕生しているかもしれませんよ」
彼女は、微笑みを浮かべ、頷いた。
「では、広間で、ご主人への追善の勤行をしましょう」
広間に行くと、近隣の学会員が集まって来ていた。
「お会いできてよかった。これから、亡くなられた根本孝俊さんの追善の勤行を行います。皆さんも、ご一緒にどう
ぞ!」
厳粛な勤行が始まった。伸一は、根本をはじめ、広宣流布の道半ばに逝いた全福島、全東北の同志の冥福を懸
命に祈った。
大聖人は、「今日蓮等の類い聖霊を訪う時法華経を読誦し南無妙法蓮華経と唱え奉る時・題目の光無間に至り
て即身成仏せしむ」(御書七一二ページ)と仰せである。題目こそが、故人の即身成仏の力となるのだ。
伸一は勤行を終えると、居合わせたメンバー全員と、記念のカメラに納まった。
伸一の一行が、那須にある栃木研修道場に到着したのは、午後三時半であった。
夕刻からは、栃木県の各部首脳が集っての県最高協議会が待っていた。
協議会は、翌日も引き続き行われた。協議の末に、八月の県青年部総会や、11・6「栃木の日」を記念する県総
会の開催などが決定していった。
また、伸一は、女子部は活動が多忙であっても、絶対無事故を期すために、いかなる会合も午後八時半の終了
を厳守することを確認した。幹部の打ち合わせがあっても、午後九時半には解散し、どうしても遅くなる時には、両
親、家族に必ず電話を入れるなど、心配をかけないように、強く訴えた。
事故が起これば、自分も、周囲の人たちも苦しむ。それを未然に防ぐために智慧を働かせていくのが、仏法者の
生き方である。