求道42  2014年8月1日

望来大ブロックに集っていた婦人の一人を、副大ブロック担当員が峯子に紹介した。
「こちらの方は、ご主人を亡くされ、五人の子どもさんがいらっしゃるんです」
「大変ですね。ご自宅は遠いのですか」
峯子が尋ねると、婦人は答えた。
「山を迂回しなければなりませんので、歩いて五十分ほどかかります。森を通って近道をすれば、三十分ぐらいなので、今日はそうしました。
でも、一人で森の中を歩くのは怖いもので、女子部の娘も連れてきました」
笑みの花で包むように、峯子は語った。
「いつも遠くまで歩かれて、学会活動されているんですね。
その信心の志は、女人の身で、娘さんの乙御前と、佐渡まで大聖人をお訪ねした、あの日妙聖人のようですね」
峯子の言葉に、婦人は「まあ、私が!」と、目を丸くした。どっと笑いが起こった。
峯子は、微笑みながら言葉をついだ。
「信心の苦労は、必ず功徳の大輪となって花開きます。何があっても決して負けないでください。
お子さんたちは、健気なお母さんの姿を手本にして、立派に生きていき
ますよ」
さらに、乳飲み子を抱いた婦人に尋ねた。
「まだ、お子さんが小さいので、目が離せませんね。何カ月になりますか」
「はい。四カ月です」
「子育ては、苦労も多いですが、子どもはすぐに大きくなりますよ。一瞬、一瞬を大切にしながら、広宣流布の立派な後継者に育ててください。
子育てを通して、子どもから教わることも多いですよ。
子どもを育てていくなかで、お母さんは、人間的に大きく成
長していくことができるんです。子どもは、時に「先生」でもあるんです」
「うちの子も先生なんだ!」という声が漏れた。すると、皆の笑いが弾けた。
峯子は、大ブロック担当員に言った。
「この大ブロックは明るいですね。明るさに圧倒されそうです。
明るいということは、仲が良いことであり、団結していることの証明でもあるんです」