求道57  2014年8月20日

山本伸一は、六月十四日夕刻には、北海道研修道場開設五周年を記念する勤行会に出席した。
開会前、彼は、屋外で参加者を出迎え、集って来た、根室、厚岸の二本部のメンバー一人ひとりに声をかけた。
「ようこそ! お会いできて嬉しい」
「本当にご苦労様です」
「お達者で! ご長寿をお祈りします」
肩を抱き、握手を交わし、そして、共に記念のカメラに納まる。「今しかない!」と、必死の思いで、伸一は、皆を激励し続けた。
開会となった勤行会で、彼は訴えた。
「一人の人を、心から慈しみ育てようとする慈愛の精神に立った行動によってのみ、自身の信心の功徳を無量に開花させていくことができるんです。
大切なことは、自行化他にわたる実践です。
その行動を、勇んで起こされた皆様方にこそ、日蓮大聖人の大精神が脈打っていると、断言しておきます」
この勤行会終了後、伸一は、峯子と共に、標津町を訪れた。
学会員が経営する食堂で、地元の功労者らと懇談するためであった。
体調不良に悩む支部長には、健康管理の基本を語るとともに、信心の在り方について懇々と語っていった。
「まず、題目を唱え抜いていくことです。
広宣流布という最も崇高な大目的を心にいだき、わが使命を果たし、走り抜くために、「健康な体にしてください」と祈ることです。
そこに大生命力が涌現するんです。
学会のすべての役職には、広宣流布推進のための重責がある。
その役職を全うしていくことは大変かもしれない。
しかし、あえて労苦を担っていくなかに、より大きな功徳があり、宿命の転換もあるんです。
役職を疎かに考えてはなりません。
幸福への、わが使命の大道ととらえ、勇気と情熱をもって活動していくことです」
伸一は、真剣だった。烈風に一人立ち、妙法の旗を掲げて、懸命に戦う同志である。
一瞬に全生命を注ぐ思いで、彼は指導した。