求道59  2014年8月22日

別海滞在三日目の十五日、山本伸一の熱は、いくらか下がっていた。
この日は、午後一時前から、釧路圏と道東圏の支部長・婦人部長らが参加し、北海道幹部会が開催された。
幹部会では、出来上がったばかりの、支部長・婦人部長バッジの授与式が行われた。全国で初めてとなる授与である。
このバッジは、支部制発足の際に製作が発表されたもので、桜の花びらのなかに八葉の蓮華がかたどられていた。
伸一は、全支部長・婦人部長待望のバッジを、風雪に耐えながら、求道の炎を燃やしてきた、日本本土の最東端の地で戦う凜々しきリーダーたちに、まず授与しようと、首脳幹部に提案。決定をみたものである。
授与式の折、彼は自ら、代表の背広の襟にバッジをつけた。大拍手が起こった。
伸一は、この極寒の地方で妙法を唱え、弘め、懸命に激励に走るわが同志に、地涌の菩薩の出現を実感していた。
その瞳に、濁世を照らす尊貴なる仏の慈光を見る思いがした。
伸一は、別海訪問初日、愛する友に、万感の思いを込めて歌を贈っている。
  
別海の 天地を走る 友ありき
幸の風をば 共々おくらむ
 
幹部会のあいさつで彼は、「我等が居住の山谷曠野皆皆常寂光の宝処なり」(御書七三四ページ)の御文を拝して訴えた。
「どこであろうが、私たちが御本尊を持って、広宣流布のために活躍するところは、即常寂光の宝処であり、仏国土となるのであります。
したがって環境がどうあれ、自分が今いるところこそ、人間革命、宿命転換の場所であり、仏道修行の道場なのであります。
そして、そこが、幸福の実証を示していく舞台なんです。
どうか、今いる場所で勝ってください。信頼の大樹に育ってください。それが、大仏法の正義の証明となるからです」