小説「新・人間革命」広宣譜10 2014年 11月28日

学会は、宗門の質問について審議を重ね、系統立てて整理しながら、誠心誠意、回答をまとめていった。
宗門からは、学会の回答が納得できるものであれば、各寺院での学会攻撃を収めることができるとの話もあった。
学会の首脳たちは、異常な事態に早く終止符を打って、会員を守ることこそ、第一義であると考えていた。
したがって、以前からの学会の考えを確認したうえで、誤解を招きやすい表現があったならば、宗門の指摘を受け入れようとの姿勢で臨んだ。
学会は、ただひたすら和合を願い、真摯に対応したのである。
ほどなく、日達法主からは、学会の回答を了解した旨の連絡があった。
この回答は「教学上の基本問題について」と題して、「聖教新聞」六月三十日付の四面と、『大白蓮華』八月号に掲載し、全会員に周知徹底を図ることになったのである。
これで各寺院での理不尽な学会批判は終わるはずであった。
しかし、この時も、学会攻撃をたきつける讒言が流された。
宗門を利用して一攫千金を企て、暗躍した反逆者の謀略であった。
多くの僧が、学会の誠実な回答を逆手に取り、ここぞとばかりに、陰湿な中傷を繰り返した。
紙面になった「教学上の基本問題について」を使い、誤りが明らかになったとして、責め立ててきたのだ。
学会攻撃は収まるどころか、暴圧は増していった。彼らは、衣の権威を振りかざして、「学会では成仏できない」などと迫り、檀徒づくりに狂奔していったのである。
伸一は、仏子である学会員の苦しみを思うと、「なんとしても会員を守り抜かねばならない」と、自らに言い聞かせた。
また、何よりも大切なことは、広布破壊の謀略に紛動されない、創価の真正の勇者を育むことであると痛感していた。
「わが同志よ。烈風吹かば、いよいよ、信心の火を、広宣流布に生き抜く創価の闘魂を燃え上がらせるのだ!」